施設警備員に限らず、警備員が決められた業務を毎日行っています。その業務はなぜ〇〇な行動をしてるのか、という事を理屈で理解していなくてもやっている事が多いかもしれません。それが面倒な行動だったり「〇〇すれば従業員の人も喜ぶのに」と思ったとしても警備員一人の判断で変更してはいけません。ちゃんとした理由があってその様な面倒な行動になっている場合もあるからです。
警備員は決められた事を守る
先日、とある高齢の警備員が決められた業務にも拘らず「従業員の人が困るだろうから」という理由でその決められた業務とは違う行動を取りました。
夜間の火気点検の際に、巡回中の警備員が灰皿を片付けるという業務があるのですが、その高齢警備員は残留者の従業員がまだタバコを吸うかもしれないから、という理由で灰皿を片付け無かった様なのです。
夜間は建物の外も中も人の気配がなくなり、警備員が火気点検をする際に灰皿などもタバコがくすぶっていないか、など確認をします。
また、これは現場によっても行動は違いますが、その現場では夜間巡回中の警備員が、灰皿を所定の位置から閉館後の位置へ移動させる業務がありました。
施設を利用する人がいなくなっている時間帯なので、灰皿を片付けても問題は無いのですが、稀に従業員が残留している時があり、その残留者によってはタバコを吸う人もいます。
今回高齢の警備員は、灰皿を片付ける時間になっても「残留している従業員さんがタバコを吸うかもしれないから」という理由で灰皿を片付けすにいた、という事なのです。
一人で勝手な判断をする時
警備員はクライアントと契約をして決められた業務を行っています。
殆どの施設警備の現場は、〇〇時に〇〇の業務を行う、と時間単位で何をするのか決められています。
その中で、夜間業務を行う時に今回の灰皿も、巡回中の警備員が片付けると決められているのです。
その現場では灰皿を片付ける時間こそ決まってはいませんでしたが、夜間巡回時に片付ける事が決められており、巡回時間は決まった時間に見回るので、それとなく灰皿を片付ける時間も決まっている状態でした。
そんな中、一人の高齢警備員が従業員が使うかもしれないから、とやるべき業務をしなかったのです。
一見、従業員の為の行動だからと間違った行動をしていない様に見えますが、施設警備業務の経験のある方なら、これは間違っている行動だとお分かりだと思います。
警備員がやるべき業務をしなかった場合、今回は灰皿を片付けなかったのですが、この灰皿を片付けなかった事で、万が一火災が発生した場合誰に責任があるでしょうか。
残留していた従業員なのか、気を利かせた警備員なのか。
灰皿を片付けタバコの火がくすぶっていれば、片付ける際に警備員が対応できていたかもしれません。
更に、従業員が仕事で残留をした際、警備員に灰皿を片付けるのを止めるよう頼んだわけでもありません。
そう、これは高齢の警備員が勝手な判断でやるべき事をしなかった、という記録しか残らないのです。
警備員が灰皿を片付けてしまっても、従業員がタバコを吸いたければ自分で灰皿を出して吸えば良いだけですし、それでもし残り火で火災が発生しても、警備員が一度灰皿を片付けた、という行動さえしていれば全面的に警備員が悪いという事にはなりません。
警備員が巡回時にちゃんと灰皿を片付けた、という行動をしているのであれば間違った事は何もしていない事になりますね。
しかし、余計な気を利かせて頼まれてもいないおせっかいをした為に、火災になった場合責任はその警備員にあります。
人から良く思われたい、という気持ちは誰にでもあります。
「警備員さんありがとう」と感謝されたい気持ちからこの様な行動に出たのかと思いますが、契約でもある規則を破ってまで親切な行動をとってはいけません。
だからと言って全ての業務を非情に行うのか、という訳でもなく取るべき順序さえ間違わなければ解決策はあるのです。
手順さえ踏めば改善も可能である
警備員は契約で決められた業務を行っています。
今回はこの決められた行動を取らなかった事が問題になりました。
従業員の為に、という行動が問題になったのですが、決まりを破らずに従業員にも感謝される様にするにはどうすれば良いのかというと
「上司か会社へ相談して、決められている業務に多少の変更をしてもらう」
という事です。
必ずしも提案が通るわけではありませんが、なぜ変更する必要があるのか、またその変更をする事で何か大きな欠点が生まれないか、そして既存の業務に支障が出ないか、などただ変更をお願いするだけでなく、様々な角度からのメリットやデメリットを提示する事も必要です。
私も上司である立場上、ただ「〇〇して下さい」と言われただけでは賛成はしないと思います。
相手も人間ですからね、説得力のある話なら賛成もしやすいモノです。
この様に、警備員が個人で勝手に「良いと思ったから」という思い付きで業務を変更してはいけません。
企業同士が契約のもと業務を行っているので、どんな理由があってその業務をしているのか現場サイドの人間は知らない事もあるかもしれません。
納得のいく理由が分からなければ聞けばよい事ですし、例え納得がいっていなくても従わなければなりません。
契約を結んでいるのは警備会社とクライアントであって、個人とクライアントではありませんからね。