警備員が人手不足な時に、起こる現象の一つに求人の給料が上がるというものがあります。これは人材の奪い合いの為に他社よりも高い給料で人を集めようとする動きです。実際の世の中の新卒の求人がこの動きになっていますね。しかし、警備業界でもこの動きがあってもなかなか簡単には行かないのです。
人が足りなければ賃金が上がる
警備業は長らく人手不足です。
このセリフはかなり以前から言っています。
そう、人手不足が長い間解消されていないという事です。
その人手不足は警備業だけでなく、一般企業にも言える事です。
しかし、最近その一般企業が人手不足を打開する為に、新卒者の初任給を30万円まで上げている企業が出てきました。
まだこの動きは始まったばかりで、全ての企業がこの金額を出せるわけではありませんが、この流れが続けばそのうち多くの企業が初任給を30万円まで上げてくるかもしれません。
その点、警備業界はどうかというと警備業では新卒者という人材がそもそも少ないので、目立って高い初任給という話は聞きません。
しかし、そのうち警備業界でも新卒者で30万円の初任給という話が出てもおかしくありません。
警備業界では簡単には上げられない
そんな警備業界の高給化ですが、実際の所そう簡単に挙げられるものでもないのです。
現場で働く警備員の給料を上げる事自体、言うのは簡単な事ですが、そのお金を用意する事が難しいのです。
そもそも警備業者は警備業務を委託された企業から契約金を貰って仕事をしています。
現場で働く警備員の給料や、新卒で入社する警備員の給料を上げようとするならば、その企業との契約金を上げるしかないのです。
自分の会社で働く従業員の為に契約金を上げさせてください、と伝えて快く了承してくれる企業はまず無いでしょう。
今までの業績を上回る仕事を提供できるのなら可能ですが、警備業務で去年よりも業績を上げるというのは中々出来るものではありません。
人手不足を理由に契約金を上げる事は、警備業界では中々出来る事ではないのです。
しかしここ数年、コロナ禍で人を集められ無くなった警備会社が契約を継続する事が出来ず廃業したり、さらに新規の契約を結べなくなった事で、生き残った警備業者側に有利な契約を選ぶ流れが来ました。
そうなると警備業者が納得のいく契約金で仕事を請け負う様になると、警備員さん達にも比較的高い賃金を払う事が出来ます。
社内でもこの流れが一部の現場で発生し、警備会社側が有利な契約を有利に結べた物件もありました。
この様に、警備業者が仕事を選べるようになると、契約金も高くなり給料も上がる事になるのです。
ただし、この流れはまだまだゆっくりとしたものなので、警備業界全体がこの様になるには時間が掛かると思われます。
最低賃金の底上げの動きの方が早い
現場で働く警備員さんたちの給料が上がる一番手っ取り早い手段と言えば、やはり各地域の「最低賃金の増加」だと思います。
警備員はどこの会社も、最低賃金に近い給料で働いていると思います。
しかし、近年全国的に最低賃金の上昇が著しく、当初契約で結んだ金額では、現場で働かせる警備員の賃金が、時間給で見るとこの「最低賃金」を下回る場合も出てきます。
そうなると、警備業者としては契約金を上げてもらうのを待つよりも、この最低賃金を下回らない様な支払いをする必要が出てきます。
これならば、現場で働く警備員さんの手取りが何もしなくても上がる事になります。
反面、警備会社としては人件費の増額で会社の儲けが少なる事を指しており、経営自体が苦しくなります。
まあ、最低時給が上がる程度では、目に見えて収入が上がったとも言い難いので一番良いのは契約金が上がり収入が増えるというパターンでしょう。
今後、国内で新卒者の初任給が高い現象が広まれば、いつか警備会社にも波及すると思います。
しかし、その波は一般企業と同じタイミングとはいかず、かなり遅れての効果だという事を覚悟しておきましょう。