今ではほとんどありませんが、商業施設での勤務の時この事案のおかげでテナントの従業員の方から万引きをしたであろう人に対して「あの人捕まえて下さい」とお願いされた事があります。警備員の仕事は人を逮捕する事、と勘違いしている人が多いです。
警備員という一般人(従業員)の勘違い
一昔前よりは認知されつつあるような気がしますが、警備員だからといって誰かを逮捕できるわけではありません。
いや、そもそも逮捕という行為は誰でも出来るのですが、意外と知られていないだけで、警備員に逮捕を要請してきた従業員も出来るのです。
この状況は現行犯逮捕と言って、お店などにいる従業員でも状況さえそろっていれば可能です。
別に警備員だからできる、という訳でもなくむしろその現場その瞬間に立ち会っていないので、呼ばれてきた警備員が状況も把握できていない状態で逮捕するのは後々面倒な事になるだけです。
そもそも逮捕というものに種類があること自体一般の人は知らないので、警察や警備員にある特権と勘違いしている人が多いと思います。
警察官には一般の人とは違った権限があるのですが、警備員はどちらかというと一般の人と同じ程度の権限しかありません。
制服なんて所詮飾りの様なものです。
歳をとった人ほど警備員に特別な権限があると錯覚している人が多く、若い人の方が「警備員には何の権限も無い」と理解している人が多いのではないでしょうか。
浅い知識でマウントを取ろうとした迷惑客
以前、商業施設に迷惑を掛けてマークされていた人物がいました。
歳は50代後半といった感じで、出入り禁止になる直前の人物です。
店内に居るのが分かるか、もしくはトラブルになった事のあるテナントからの通報などで警備員がモニターや現場で距離を置いて注視していました。
ある日、どこで知ったか「警備員には何の権限も無い」「お前らは俺に何もできない」などと虚勢を張っていました。
今の若い人たちでもその程度の事は知っています。
しかし、だからと云って店内で自分勝手な振る舞いや、他の来店客の迷惑になる様な行為をしても良い、なんて事はありません。
俺は客だから何をしても良い、しかし警備員は何の権利も無いから職質や逮捕は出来ない、といった感じでした。
人やお店側に迷惑を掛けても誰も俺を咎める事は出来ないという理屈です。
こんな道理が通るはずもなく、施設管理権を行使させていただき拘束し警察へ通報して晴れて出入り禁止となりました。
施設管理権までは知らなかったようで、あれだけの蛮行をして警備員が何も対応できないなんて思う方がおかしく、浅い知識しかないのによくもあれだけの行為が出来たものだと驚きました。
警備員は何の為に存在するのか
警備員が何も出来なければ、その施設にいる意味がありません。
しかも、いくら普通の人と同じ権限しかなくても一応逮捕は出来ます。
そして、クライアントからある程度の施設管理権を委任しているのでその施設にそぐわない行為をすれば追い出されます。
これが出入り禁止に繋がります。
まあ、一応出入り禁止にするに至るまでにはクライアントにもしっかり相談したうえで決定してますが。
クライアントだけでは対応しきれないから、警備会社と契約してある程度の権利を委託し業務を任せているのです。
さすがにこういった流れまでの知識は無かったようで、好き勝手していた迷惑な人物も当施設に入る事が出来なくなりました。
クライアントの面倒な業務を代行する警備会社は、傍から見ると用心棒のようにも見えますが、警備会社もその施設の規則に従い来店されるお客様に対して質の高い接客対応を求められています。
そんな中、ポンコツ警備員が居ると警備会社だけでなくその施設に対しても迷惑を掛けてしまうのです。
しかも、そういったポンコツ警備員はどこの現場にもいます。
今までたくさんのポンコツ警備員に出会ってきましたが、質の高いサービスを要求される現場に行くと、どんな人がポンコツか一目で分かります。
ヒマな現場では分かり難いですが、忙しい現場ではボロが出やすいのです。
警備員同士でフォローしてあげられると良いのですが、そういった人に限ってあまり協調性が無いので周りも対応しづらいのですね。