<ケース:病み>
K氏(30代)という警備員はちょっと病んでいます。
そもそも警備員になる条件として心身の障害があって業務を適正に行うことが出来ない人は警備員になれませんよ・・。という警備業法があります。
彼はこれに違反するほどではないのでまず初めに断っておきます。
で、この彼はちょっと普通の人よりも元気が無くなったり、テンションが少し高くなったりする病気です。(分かる人が分かれば良いです)なので通院しており薬も処方されていたようです。
厳密にセーフなのかアウトなのか分かりませんが皆と同じように勤務していましたし、まあ警備員としては問題なかったのでしょう。
しかし、やはり普通の人と違うのかちらほらと問題が出てきました。
まずは当務の時、仮眠をしたのはよいのですが時間になっても起きて来ないんです。
短い仮眠で起きるというのは中々ツラいもの、だれだって1度や2度は寝過ごしてしまう事はあります。そこら辺はある程度は皆、寛容するのですが彼の場合は毎度毎度です。
どうやら、処方されている薬が寝付けない人の為の薬らしく数時間しか仮眠時間が無いのにそんな薬を飲むのでそりゃ、
起きるの無理でしょ!
ということです。
毎回のことなので、しまいに怒鳴って起こす人もいたそうですが私の時にもやられました。
彼が起きてやらなければならない仕事があったのですが、もう彼を起こすのをやめて私が代わりに彼の仕事を遂行しました。
そのあと、彼は飛び起きてきたらしいですが特に何も触れることなくその場は叱られることなく流れました。
お薬が処方されるほどなので大変なのでしょうが、もう少しどうにかならないものなのかと思いました。
この事件は勤務中の出来事ですが、一番困ったのは彼が出勤するべき日にこれをやられた時です。
例えば、9時に上番しなければならない時、朝8時ちょい過ぎ頃に防災センターへ外線で電話がかかってきます。
「すみません、今日調子が悪いので休ませてください・・・」
はい、当務者の誰か一人居残り決定です。
病欠で誰かがカバーするのはたまにあり仕方がないのですが、彼の場合それが月に何度もあります。
何度もあると、またかという思いから病欠をする彼に対する同情心が薄れてきます。(病欠というよりも朝起きれなかっただけなのでは?)
彼が当務で出勤前には皆、ビクビクしていました。
「俺は今日無事に帰れるのか」と。
また、連続で当務は大変なので当務を二つに割って2人で日勤と夜勤を対応することが多かったです。
それでも、本来は帰宅してお休みの筈なのに帰れないのは厳しいですね。
当時の隊長にも
「とりあえず出てこい、それでどうしてもツラい時は少し横になればいいから」
とお説教されていました。
その後、多少は改善されましたが最後までドタキャンはありました。
彼の行動はこれに収まらず、従業員やお客様にも迷惑が掛かりました。
ある日、テナントの従業員から警備員に対してクレームの報告がありました。
「ある警備員さんは巡回の時いつも前をぼーっとみて歩いてるだけです。あれで本当に施設を警備できているんですか」と。
警備員の名前こそ出ていませんでしたが、聞いた特徴からK隊員の事だとすぐに分かりました。
確かに彼の歩き方は従業員の言う通りで気の抜けた幽霊のような歩き方です。
そんな彼が施設内を歩いているわけですから、不安になる従業員の意見もごもっともです。
更に、そういった行動はお客様にまでも迷惑をかけてしまいました。これにはさすがにクライアントを通して隊長からも厳しく注意を受けていたようです。
閉店時間中、ウチの施設は営業時間のズレから通路が不規則に閉鎖されます。そのためお客様が帰りの出口を探されていて、閉店の作業をしながら施設内を歩いていた彼の近くを通った際(声をかけた?)に、彼は見事に
お客様を無視して通過。
それを見ていた従業員が代わりにお客様の対応をして、後日クレームとしてクライアントに報告があがりました。
忙しいのは分かりますが、普段から周りに気を配る必要があるのに考え込んでいたか、ボーっと歩いていたか気づかずに行ってしまったようです。
他にも施設の設備を損傷させてしまった件などがありますが、最終的にはその施設の現場から外されてしまいました。
まあ、警備員失格というよりはもう少し彼にあった現場でならやっていけると思うので外されて良かったのではと思います。
程度の差はあるにせよ、病んでいる人が全く警備業に就けないわけではないのでやり方次第であると思います。
無理だと思ったらひどくなる前に配属先の変更を申し出ましょう。