<ケース:記憶力>
W氏(50代)という警備員は、とにかく要領の悪い警備員であった。
通常、研修期間(先輩警備員と同じポストに入る)の1週間を終えた後、皆と同じ1ポスト(一人)を割り振られる。割り振られてすぐはどの新人でも100%出来ないと誰もがわかっている。大体60~70%程度の出来で、日に日に向上させて一人前になる感じである。
しかし彼は違っていた。
研修を終えた時点で20%くらいの出来であった。
「おまえ人が教えたこと全然頭に入ってないな!」
「いつも、ハイッ!って返事してるけど理解できてないのに返事するな!」
毎日先輩警備員が叱る、もしくは指導隊員が私に
「彼を指導していく気力がなくなりました」
という諦めの苦情を何度も聞きました。
確かに普通の人よりも覚えが悪くて一人前になるのに時間がかかるのは個人差があるので仕方がないが、他の人が1日で覚えるところを1週間経っても覚えられない。また教えられた時には必ず
「分かりました!」
や
「ハイッ!」
と返事をするので、いざやらせてみると全然できていない、理解していない。
更には
「それは誰かにやれと指導されたのか?」
と、教えられてもいない事をしてそれが大きな問題につながる・・・。
この連鎖が1か月毎日も続けば誰でも嫌になるだろうなと思いました。
人よりも覚えが悪いならメモを取る、出入管理の業務のちょっとした合間や休憩時間などを利用して巡回ルートの復習をする。
などのアドバイスをみんながしており、彼もそれなりに勉強していた様なので何枚か持っていたメモをちらっと見せてもらいましたが、出来ない人の典型である
字は汚くて読めず、メモも教えられた単語が無造作に書いてあるだけ。
・・・そんな書き方じゃ、覚えられるわけがねぇ!
研修期間が終わったら先輩警備員とはもう一緒に巡回に行けない、その代わりに覚えきれていないのを補うためのメモなのに、そのメモが役目を果たせ切れていない。とりあえず書けと言われたから書きました、みたいな。
もう要領が悪いというよりもやる気がないのかと思いました。
それでも2か月後くらいには何とか皆と同じくらいの巡回時間で回れるようになりましたが、火気点検とか戸締りちゃんと見てるのか?、といまいち信用がありません・・・。
そのうち大きな問題を起こしてクライアントから現場から外すようクレームが来そうです。
せめて人並みな記憶力が必要です
どんな仕事でも記憶力というのは必要ですが、警備員にとっても記憶力は大切なスキルです。
世間一般的には警備員は体力のみ、なイメージがありますが意外と記憶力も必要なお仕事です。大勢の従業員の顔や、以前お店などで問題を起こした不審者の顔、施設内の防犯設備の位置・・など。
研修の時に覚える量はやや多いですが、一度覚えてしまえば後は毎日同じことの繰り返し業務です、大変なのは初めだけなので頑張って覚えてほしいです。
初めの1~2週間位だけはとにかく自分の出来る精一杯の努力をしましょう。