大型商業施設は比較的キツイ現場です。しかし、出入管理業務中に1時間立哨していた場合、1時間ずっと忙しい訳ではありません。受付に誰も来ない時間や無線を一切交わしてしていない時間などがあるものなのです。そんな余りにも暇な時間を利用して、別に覚える必要のないテナントの情報を覚えていた事がありました。
どんな現場でもヒマな時間はある
今まで忙しい現場やヒマな現場などを経験してきましたが、例えば忙しい現場と言っても、24時間ずっと忙しい訳ではありません。
巡回などを実施している時間帯は歩いて周りのモノに集中するので、例え何もしていなくても、ヒマという意味とは少々違います。
施設警備員でヒマな時間になりえる時は
「出入管理業務の時」
この瞬間だと思われます。
どこの現場でも、この出入管理業務の忙しい瞬間に違いはありますが、ヒマな瞬間はみな同じです。
人が来ない、無線でやり取りをしていない
これはどこの現場でも同じで、時間の長さの違いこそはあるかもしれませんが、何もする事が無くなる状態は同じなのです。
当時商業施設勤務の時にも、この何もする事が無くなる瞬間はありました。
いつも忙しいと、何もする事が無くなった時に
「何かをしなくてはいけない」
なんていう衝動に駆られるのです。
その為に、ある日ある事をしようと思い付いたのです。
テナントの情報を記憶
当時のその施設には、いくつものテナントが入っていました。
そのテナントにはお客様向けの外線電話があり、更に施設用の内線の電話番号もありました。
防災センターには、テナントから内戦で電話が掛かって来る事も度々ありましたが、防災センターの警備側から各テナントへ電話をする事は滅多にありません。
その為に、一応各テナントの内線番号の一覧表はありましたが、それほど使う事も無かったのです。
しかし、毎回各テナントから内線が掛かってくると、ディスプレイ表示にテナントの番号が表示されていたのです。
クライアントでもある事務所からかかってくる番号はよく見かけていたので、自然と覚える事が出来ましたが、滅多にかかってこないテナントの番号は、パッと見ただけでは分かりません。
「これ、受話器を取って会話をする前に番号を見ただけでどこのテナントか分かったらどうだろうか」
と思いつき、ある日出入管理業務でヒマになった時間を利用して、各テナントの内線番号を記憶する様にしたのです。
勤務していた大型商業施設に入っているテナントの数は100を軽く超えます。
そしてこれらを覚えた所で、警備業務として劇的に仕事が改善される事もありません。
電話に出る前に「ああ、あのテナントからね」と分かる位です。
それほどに管理業務で手が空いた時間に何かをしていたかったという事です。
毎回少しづつ、ヒマになる瞬間がやって来る度に、テナント一覧表を見ながら覚えていました。
今ではもう覚えていない
その後どうなったかというと
「今では一番やり取りのあった事務所はおろか、いづれのテナントの内線番号は一つも覚えていません」
あれほどの件数を頑張って覚えたにもかかわらず、その現場での仕事をしなくなって数年もしない内に、すべて頭の中から綺麗に無くなってしまったのです。
警備員になる前の過去に転職をした後に、以前の仕事の事を忘れてしまうのと同じですね。
何年も勤務してきて沢山の取引先の電話番号を覚えていたのに、退職してしまうと忘れてしまった、という経験とまったく同じです。
施設警備員として勤務する時、どんな現場へ行っても共通の業務として覚えていなければならない事はありますが、今回の様な特に覚える必要もなくまた他所の現場へ行っても何の役に立たない様な事柄は、ある意味無駄な事とも言えるでしょう。
それならば、もしヒマな時間が出来たのであれば、他所の現場へ行っても役に立つような事柄を覚えた方が、よほどその人の為になると思います。
施設警備の仕事をしていると、思わぬヒマな時間が出来る事があります。
そんな時に、何かよそ事をしても何となる現場と、無関係な行動は厳しく制限されている所があると思います。
勤務している現場が、どれだけ寛容なのかという事をよく考えたうえで、行動する様にしましょう。