警備の求人で、アットホームな職場とうたっているほど人間関係が拗れていると聞いた事があります。今まで経験してきた現場で、全員がみな険悪にならずに仕事を全うできていた処はありませんでした。それもそのはず警備業という仕事は人間関係が上手く行き難い環境なのだからです。
年齢の幅が広い上に同じ仕事をする
今まで経験してきた現場では、下は19歳から上は76歳とかなり幅の広い職場でした。
これは私が経験してきたところに限らず、多くの現場は年齢差が激しい事だと思います。
例外として、警備会社があえて高齢者ばかりを集めて、平均年齢を60歳以上にしている所もあると思います。
これには様々な理由がありますが、今回はここには触れないでおきます。
多くの現場で年齢差の激しい状況があると何が起こるのかというと、ジェネレーションギャップが生まれます。
これが意外と曲者で、世代間の価値観の違いでコミュニケーションが上手くいかなくなってしまいます。
親子ほども歳が離れているので、同僚とはいえなかなか上手く付き合えません。
共通の趣味などがあれば別ですが、好きなものも休日の過ごし方も30歳以上も歳が違えば全く異なります。
そうなると自然と会話もしないので、職場は何となくギクシャクするのです。
年功序列が通用しなくてケンカが発生
日本の社会構造全体がそうなので仕方がありませんが、殆どの企業が年功序列型です。
少しでも長く勤務していれば、後から入社した者は後輩となり先輩のいう事を聞かなくてはなりません。
そんな企業で数十年と働いてきた、高齢者は警備員になっても同じようなものだと思っています。
そして私が知り合ってきた多くの高齢警備員は、警備員の資格を取得していませんでした。
要するに
無資格だが警備員歴が長い
警備員の仕事は確かに経験がものをいう事が多いです。
しかし、警備員としての正しい知識や自分の勤務している現場以外での総合的な知識は、資格を取得しなければ身に付きません。
そして警備業界は残念な事に年功序列ではないのです。
どれだけ長く警備員の仕事をしてきても、自分の子供の年齢と同じくらいの隊員が上司なんて事は普通にあります。
そして資格を取得している警備員の指導に従わなければなりません。
これが意外と問題の起こる原因でもあります。
今まで歳が上だったり、勤続年数が上というだけで偉そうに出来ていたのが、警備員になって年齢も警備経験年数も下の者が上司になるのです。
そりゃ高齢者からしたら面白いわけありませんよね。
しかし、自分の方が知識も能力も劣るのなら、それを上回る者の下に就くのは仕方がないのです。
それが納得いかない、もしくはその仕組みを理解できていない者は年下の上司とケンカになるのです。
会社で決められた事なので、従うしかないので納得出来なければ退職するしかありません。
高齢者は意外と頑固なので、それで辞めてしまう人も多いようです。
厳しく細かい押し付けをする者が居る
また、警備業界は若干軍隊調な雰囲気があります。
もともと警察官の仕事の真似事から生まれた様なものなので、どうしても規律を重んじるのは仕方がありません。
そして、警備隊の中にはそういった雰囲気に少し酔った隊員さんがいるのも事実です。
彼らのしている事は別に悪い事ではないのですが、普通の人からするとやや堅物に見えます。
一見偉そうにしている様にも見えるかもしれませんが、こういった人物を観察しているとどうやら彼らは偉ぶりたいのではなく、規則や規律に厳しいタイプの人間なのです。
警備員は礼式を始め集団行動にこだわる職業なので、その行動を忠実にそして極端に守らせようという気持ちの人間が、出来ない者に対して小うるさく言うのです。
警備員になってなれない初めのうちはこういった行動がとれず、そこをネチネチと言われるのでケンカになります。
まだ慣れていないのにうるさく言われても頭にくるのは当然ですが、小うるさく言っている内容もまた間違っていません。
しかし、まだ慣れていないのなら丁寧に説明して指導すればよいのですが、彼らにはそういった指導が出来ません。
「何故できないんだ!」
という苛立ちの思考しかないのです。
要するに人を教育する能力がないのに、人にあれこれ言うから問題になるのです。
先輩警備員が新人警備員を指導する、という流れになっていてもその先輩警備員に指導能力があるかどうかは考慮されていないのです。
こういう先輩に指導される現場は、人の入れ替わりが多い傾向にあるのかもしれません。
この様に警備業界は様々な要因で人間関係が上手く行き難い環境になっています。
しかし、奇跡的にこれらの問題をすべて回避できている現場もあるかもしれません。
もしそういった現場で勤務できるのでしたら、出来る限りそこの現場で長く勤務出来るよう精進して欲しいと思います。