大型商業施設の勤務をしていた当時に、施設に来ていたホームレスが寝る為に大型トイレに閉じこもったり、ベンチで寝たりしていたのでそれを止めさせるために声掛けをしていました。最後の方ではクライアントから「敷地外に出すように」という指示を受け、館内に居るのを見かける度に声を掛け敷地の外へ出す、という鬼ごっこにも似た状態になっていました。
ホームレスが館内でしていた事
大型商業施設で勤務していた当時、ホームレスが施設内にちらほらいるのは分かっていました。
初めの頃は、ホームレスも目立つほどはおらず、いつの間にかいなくなっていた様でしたが、日を追うごとに増える様になりそれと比例して
「トイレに長時間籠っている」
という情報も入って来るようになりました。
それからは館内にいるホームレスを注視し他所、大型トイレに入り寝ているということを確認しました。
また、日によってはトイレの洗面で頭も洗っていた様でした。
そんな行為が続くうちにクライアントもしびれを切らし、館内で発見したら「敷地外へ出てもらう様に声掛けする様に」というお達しが出ました。
警備員が声を掛けて阻止する
店内でうろついているホームレスを発見したら、警備員が声を掛け敷地の外へ移動してもらう、という仕事が日常の業務として増えました。
もちろん、騒ぎにならない様にスマートに声掛けをして敷地外へ移動して貰っていました。
別に悪い事はしていなかったのですが、トイレを独占して中で寝ていたり、長時間館内のベンチで座らず横になってここでも寝ていたりと
「買い物に来ている多くのお客様に迷惑を掛けている」
というクライアントの判断です。
まあ、不特定多数の人が出入りするのが当たり前なので、誰が来店しても問題ないはずですが、買い物をするわけでも無く、不衛生な恰好と悪臭で周りに迷惑を掛け、売り上げに影響を与えかねない、という点で見れば仕方のない事だと思います。
クライアントから指示を出されては警備員も従うしかありません。
館内でホームレスが来た事を各テナントからも情報提供されるようになりました。
その連絡を受けて警備員が現場へ急行し、悪さをする前にやんわりと声を掛けて敷地の外へ誘導します。
ピーク時には、ホームレス各人にも警備員間で呼び名を付けられるようになり
「〇〇が正面入り口から入店」
と無線が入る様になりました。
大抵一人で対応していましたが、時には複数人の警備員で敷地の外へ誘導する事もありました。
こんなやり取りが何回も続くと、ホームレス側も慣れてきたのか、警備員が現場へ来る前にそそくさと移動する様にもまりました。
敷地外から追い出す鬼ごっこ
警備員が来れば敷地の外へ行くように促される、ホームレス側もこの流れが分かる様になり、警備員につかまる前に移動してしまいます。
無線を聞きつけた警備員が現場へ駆けつけても空振りになる事もあり、館内のカメラも駆使して探したりもしました。
初めのうちは声を掛けて移動させるのですが、またその先のベンチで寝るのでまた声掛けをして、という繰り返しでしたが、そのうち一旦敷地の外に出て警備員がいなくなってしばらくした後でまた施設内に入ってきたりと、あの手この手と工夫する様にもなっていました。
季節にもよりますが、暑い夏場や寒い冬場などは、商業施設の館内は空調が効いているので、彼らには居心地が良かったのでしょうね。
まあ、それでもクライアントから言われている以上、敷地内に入らせない様にする指示が出ているので、外が暑かろうが寒かろうが敷地の外に出てもらう他ありません。
そんな鬼ごっこも何度かするうちに、ホームレスの数もだいぶ減っていきました。
それでも私が大型商業施設を離れる最後まで、館内からホームレスがいなくなる事はありませんでした。
常連のホームレスがいれば、今まで見かけた事もない、まだ警備員から名前を付けられていないホームレスもいました。
施設警備の現場によっては、建物内にホームレスが常駐している様な所もあります。
クライアントがどの様な対応を指示するか分かりませんが、施設にとってはあまり良いお客ではありません。
ホームレスだからどんな態度を取っても良い、という訳ではありませんが施設にとって迷惑な行為をするようであれば、警備員としても毅然とした態度を取らざるを得ない場合もあるのです。