大型商業施設勤務の当時「館内に怪しい人物がいる」と知らせを受けると防犯カメラを確認し、追尾する事があります。カメラを確認し目星がついた所で巡回中の隊員へ無線が飛び、今度は目視で該当者を注視します。距離を置いて注視しますが、時には「警備員が見ている」と姿を見せて行う注視などもありました。
店内にいる不審者を注視する
警備員が不審者らしき人物を注視する。
この業務は目標にした人物の行動を見守る、という分かり易く言うと
「探偵」の様な行動です。
大きな流れとしては、防災センターに「お店に怪しい人がいます」などといった連絡を受け、防災センター内にあるカメラで確認をし、人物を特定出来たら巡回中の警備員へ無線が入ります。
また、巡回中の警備員に直接テナントの従業員が声を掛ける場合もあり、その時は巡回中の警備員から防災センターへ無線を入れ、そのまま注視に入ります。
注視というのは、対象となる人物の行動を見続け、怪しい行動をしないか見守る行動です。
この注視という行動は、大型商業施設勤務当時は毎日のように発生していました。
全ての対象者が怪しい人物とは限らず、中には従業員の勘違いなどもあります。
その為、警備員はまずは距離を置いて注視する所から始まるのです。
ガッツリ行くかさりげなく行くか
連絡を入れてきた従業員の情報が必ずしも正しいとは限りません。
もし従業員の勘違いをまともに聞いて、警備員が対象者に近い距離で注視をした場合、間違いだったと分かった時、最悪その対象者(お客様)からクレームを貰う事になります。
自分に何の落ち度もないのに、警備員がずっと後をつけてきたら良い気はしません。
勘違いからクレームを貰う事になったら、こちらはもう平謝りするしかありません。
そんな勘違いをしない為にも、まずは警備員が注視する時はカメラでしっかり確認するか、現場側の警備員は距離を置いて注視します。
この距離を置くのがまた難しく、怪しい行動をしたのを見届けられるかどうかの距離は、不慣れな警備員さんだと見届けられない事もあります。
逆に明らかに不審者だという時は、対象者に
「警備員があなたを見ていますよ」
と分かる様に注視します。
この時は「後をつけられている」と分かる様に注視します。
この近い距離の注視は時に、対象者とトラブルに発展する事もあり、過去に何度もトラブルに遭遇した事があります。
相手と距離を置いた注視と、敢えて相手の視界に入る様な注視があり、新人の警備員さんの場合は注視の対応に入る度に、カメラで見ている防災センターから
「近すぎ!離れろ」などと無線が入ります。
そんな注視ですが、マークしていた人物を警備員は最後まで見届けるのです。
敷地から出るまで注視する
警備員が対象者を最後まで見届けるのですが、その最後というのは「敷地の外に出るまで」という場合が多いです。
テナントから連絡が入り、警備員が注視を開始した時、お店の中では何事も無かったとしても、他のお店で何か行動を取るかもしれません。
その場合、警備員は対象者を注視し続け、最後は敷地の外に出るまで見届ける場合が多いです。
対象者が車で来店した場合は、その車両を確認しつつ敷地の外に出るまで。
歩きの場合は、距離を置いて敷地から出るまで見届けています。
対象者が常連であればあるほどマークしていました。
過去に一度でも施設内でトラブルを越した人物は、店内にいるのを確認する、もしくはテナントの従業員さんが一報を入れてくれたりもします。
施設側に顔を覚えられた対象者は、来店すると誰かしらが気付いて防災センターへ連絡が来るようになり、警備員の初動も早くなっていました。
警備員はその施設で不審者がいると、連携して注視する事があります。
注視と一言で云っても、距離を置くのか見える様にするのか、また敷地外まで注視し続けるのか、途中で中断するのかなど、施設によってやり方も様々だと思います。
今の現場では、不審者という人物がほとんど来ないので、注視というものを知らない隊員さんも多いと思います。
同じ施設警備員でも実施した事の無い、聞いた事の無い業務もあったりするので、違う現場へ異動しても新鮮な気持ちになりますね。