施設警備員の傷病者対応というものは色々あります。代表的な所で云えば施設警備の検定にもでる意識のない人の救護対応から、勤務中に施設内で発生する様々な傷病者対応です。今回は施設内で発生する傷病者についてお話しようと思います。
施設内で発生する傷病者とは
施設警備員は検定としても傷病者の対応が項目に入っています。
施設で働く以上、建物内で具合の悪くなる人が出た場合、人命救護という業務をやらないわけには行きません。
そんな時に、警備員が何もできないでは困るので、救護対応が出来て当然という訳です。
その様な傷病者対応ですが、一言で云っても対応は様々です。
今まで勤務してきた施設で一度も傷病者の事案がなかった、という現場はありません。
発生頻度の違いはあっても、傷病者の内容は似た様なものになります。
一番多い事案はやはり、気分が悪いという申し出になるかと思います。
人によって「気分が悪い」という度合いが異なるので、警備員側としても対応に困る事はありますが、その時の顔の血色を見て判断するしかありません。
次によく対応したのが高齢者の方で「めまいがして動けない」というものです。
これも特定できる症状は無く、かなり幅の広い対応になります。
施設で勤務していて、非常に多くのお客様が見える場合はそれに比例して色々なパターンの傷病者が発生します。
しかし、施設警備員側の対応がある程度決まっていればそれほど難しい対応でもありません。
救護室かAEDか救急車か
施設内で勤務中に傷病者発生の知らせを受け現場へ急行します。
この場合、施設や時間帯にもよりますが他にも現場へ駆けつけている関係者がいる場合があるでしょう。
彼らと一緒に現場へ到着した時に、対象者の様子を確認し防災センターへ報告します。
そして、現場で確認した際に対象者が意識があるのか無いのか、そして一般の人で対応が出来ないレベルの症状なのか見極めます。
まあ、この見極めがなかなか難しいのでこの場合は本人や連れの方が見える場合はその方に
「救急車を呼びましょうか」
と判断を仰ぎます。
この時、よほど本人がつらいのであれば、救急車要請を承諾するでしょうし、お連れの方も反対はしないでしょう。
この流れで救急車を要請するとなれば、後はその現場のマニュアル通りに救急車要請に移ります。
今まで勤務した現場での経験上、救急車要請は現場ごとで異なっていたので、今後いつでも救急車要請をした時でもスムーズに対応できるように、現場のルールを確認しておいた方が良いでしょう。
そして、救急車を呼ばなくても良い、という返事があった場合は大事を取って救護室への搬送を促します。
救護室のない現場の場合は、人目につかないどこか静かな部屋があれば良いでしょう。
傷病者の事案が発生すると、現場にもよりますが野次馬が周りに集まってきます。
具合が悪くて警備員や救護対応で集まってきた関係者をみて「何だ何だ?」と他の人も集まって来た時に傷病者としては、自分のせいで人が集まって好奇の目に晒されていると恥ずかしいと感じる人もいます。
その時に、救急車要請や救護室の案内の対応が必要な症状であったとしても「いいえ、大丈夫です」と遠慮してしてしまう事もあります。
辞退した後でさらに悪化して大事になるくらいなら、早めに人目から離れた場所へ移動して休養を取っていただくのがベストです。
そういう意味では、救急車要請が必要な見た目の人でも、救護室へ移動してから要請する、という手もありですね。
ただ素人から見て、移動をさせても良いのか良くないのかという判断が出来ない事もあるので一概に救護室へ移動すればよい、という訳でもない事は承知しておく必要がありますね。
あと一番苦労したのは、意識が無い傷病者の場合です。
この経験は私も過去に一度しかなく、しかも結論から言えばAEDの使用はしませんでした。
しかし、AEDを使うかもしれない、というその瞬間までドキドキしていた覚えがあります。
「え、本当にAED使うの!?自分が?」
という感じでした。
AEDが運ばれてくる少し前に、その方の意識が回復しAEDを使う事なく対応は終了したのです。
今思えば、あの時AEDの使用の経験をしておくのも良かったなとも思いますが、その人の命を救えるか救えないかの大きな分かれ道にもなったかもしれないので、あれで良かったのかもしれません。
この様に施設警備の現場で傷病者の対応は現場ごとで色々とありますが、救護室の案内からAEDの使用、そして救急車の要請など様々なパターンに分かれています。
そしてその対応は、現場ごとでも異なるという事です。
従業員も傷病者になり得る
施設で働いている時に傷病者の対応がありますが、その対象者というのは何も来訪者だけではなく、そこで働く従業員も対象者となっています。
過去に大型商業施設で勤務していた時も、テナントで働く従業員の体調不良の対応も何度かありました。
テナントで働く多くの人が女性でもあったので、女性特有の体調不良やその現場でたまたま多かっただけだと思いますが、過呼吸で苦しんでいる従業員の対応などもありました。
いずれも、救護室へ搬送したり救急車要請したりと、やはりここでも対応はその都度異なりました。
従業員という関係者でも同じ人で、当然 体調不良にもなります。
その時に、助けとなるのは対応を心得ている警備員でもあるのです。
現場の傷病者の対応マニュアルが有るのであれば熟知し、AEDの操作を学ぶ機会があるのなら積極的に参加し、そして警備業務検定の資格を取得する際にもケガ人の救護の実技もあるので習得しておけば、自分自身としても対応でオロオロする事は無いでしょう。