施設警備員としてキツイと思ったのが、商業施設での開閉店業務でした。24時間営業の様な所では無縁ですが、開閉店があるか無いかでかなり仕事量の違いがあると思います。そしてその開閉店も日によって仕事量の違いがあるのです。
来店者数に大きな違いがある為
平日は仕事という人も多く、来店者数はそこまで多くはありません。
土日などの週末と違い、来店者も少ないので屋上の駐車場などはそこまで車も止められる事はありません。
屋上にまで車が来ないのであれば、屋上から店内へ続くエスカレーターやエレベーター、または自動ドアなどは無駄な電気を消費する事になります。
当時は東日本大震災もあったので、世の中は省エネに力を入れており、大企業になるほどにこういった取り組みに積極的に参加しアピールをしていました。
「平日は屋上階は閉鎖状態にします」
クライアントから指示を受け、土日以外の平日は屋上階は閉鎖しその為に開閉店の作業が増えたのです。
やる気がない警備員は覚えられない
開閉店のやり方が平日と休日で変わるという事は、仕事量が倍に増えるのと同じです。
1週間のうちに2通りの業務を覚え使い分ける必要があるので
「今日は月曜日だから屋上は開けない」
「今日は土曜日だから屋上は開ける」
という覚え方をしなければなりません。
商業施設の警備員の仕事を始めて1年以上経っていたので、開ける開けないという業務にはそれほど苦労はしませんでした。
しかし、入社して間もない新人警備員や警備員の仕事にそれほど身が入っていない人は覚えるのに苦労していたようです。
平日なのに屋上階まで開錠してしまったり、また土曜日なのに開錠し忘れたりと何度かフォローした覚えがあります。
日が浅くて仕事に慣れていなかったり、仕事に対して余り前向きでない警備員さんは、この切り替えに戸惑った事でしょう。
今では商業施設の現場から離れているので、屋上階の開閉店がどうなっているか分かりません。
しかし、電気代という経費削減に効果があるので、もしかしたら今でも平日と休日で開閉店を分けているかもしれませんね。
悔しい思いをして覚えた
この平日と休日の開閉店を使い分けているとは別に、そこの現場での開閉店はかなりハードです。
屋上階まで5フロアもある様な建物なので、それを開店や閉店の時に状況によっては階段で移動しながら出入り口の自動ドアを開錠していくのです。
それもただ開錠していくだけでなく、1フロアを開錠していく毎に
「〇〇方面の〇〇階出入り口開錠完了しました」
と無線を入れながら開錠していくのです。
先輩警備員が見本を見せてくれているのを横でメモを取りそれを覚え最後には独り立ちです。
この独り立ちしたての頃が大変で、暫くはメモを片手に確認しながら開錠していくのです。
開店時間に間に合う様に開錠する必要があり、新人のペースでゆっくり開錠なんてできません。
多少急ぎ足でまわらなないと間に合わないので焦りつつ開錠していると、防災センターにいる隊長から無線で追い立てられます。
ちゃんと開錠業務が出来ているのか心配しているのと、開店時間に間に合わせるように追い立てているのです。
こちらは焦りながらも精一杯急いでいるのに、さらに無線で追い込んでくるので、あの時はものすごく悔しい思いをしながら仕事をしていました。
「絶対に全部覚えて見返してやる」
という強い思いがあったからこそ、あの現場で何とかやっていけたのだと思います。
逆に言えば、それほど警備員の仕事に対してやる気が無ければ、あんな扱いをされたら直ぐに辞めていたかもしれません。
警備員の仕事に流れ着くという事は、他に行くところが無くなったから、という人も多いのではないでしょうか。
当時の私も、取りあえず新しい仕事が見つかるまでの腰かけ状態、という状況で手っ取り早く仕事につくには警備しかなかったのです。
今ではこんなに長く警備員の仕事をする事になりましたが「もう後が無い」という様な人はどれだけきつくてもその仕事しかないのです。
そんな辛い状況でも、頑張ってその仕事に食らいついてそれを乗り越える事が出来ればこの警備業界でもなんとかやっていけると思います。