施設警備員が商業施設で勤務している時、カートの片づけをしている警備員さんがいます。勘違いしてはいけない事ですが、警備員がカートの片づけを契約内容に織り込んでいるのであれば何ら問題はありませんが、もし契約もしていないのに片づけをしている場合、事故があった時にとても面倒な事になります。
商業施設の警備員でも仕事内容は違う
私が以前いた商業施設の現場では、食品売り場などにあるカートの片づけは警備員はほとんどしていませんでした。
私は食品売り場の警備業務とは部署が違っていたので、詳しい事は分かりませんが、カート片付けの仕事は地域のシルバー人材の方が担当していました。
シルバー人材の人たちは読んで字のごとく、高齢の方々です。
シルバー人材センターという全国にある団体から派遣された、元気のある働く意欲のある人たちが、商業施設にあるのカートを片付けて頂いていました。
ネット内にある情報を見ると、現場によっては警備員が施設内にあるカートを片付けているような記事も見ますが、これは商業施設によって方針が違うので、警備員がするのか、それとも他の担当者がするのかは、実際にその現場で働かないと分かりません。
その中で注意しなければならないのが、警備員がカート片付けをする事になっている現場です。
警備員が勤務中にカートの片づけをする時、それは契約の中にカート片付けが入っているのかどうかという事です。
警備員はその施設で働く時、警備会社とクライアント側で契約を交わしています。
警備員がどんな仕事をするのか、その仕事をするのに契約金はいくらなのか。
そう、警備員は契約で仕事の内容が決められているのです。
要するに
「契約以外の仕事をしてはいけない」
という事です。どんな契約内容かは末端の警備員にまで知らされる事は無いので、詳細を確認するのは難しいかもしれません。
そして契約以外の仕事をしてはいけない、ということは
「ああ、警備員さんちょっと〇〇やっておいて」
と言われてホイホイ受けてはいけない、というわけです。
これは契約内容を知らない警備員以外にも、クライアントの従業員でさえも知らない場合があります。
私の勤務した商業施設の現場でも、クライアントの従業員の方が良く雑用をお願いにきた事がありました。
もちろん、この雑用は契約外の仕事です。
従業員の方でも、警備員が契約外の仕事は引き受けられない、という事は知らないので、雑用を頼みに来てはウチの隊長に断られていました。
雑用は隊長がきっぱりお断り
私の勤務していた商業施設の警備隊の隊長は「契約外の仕事は引き受けない」という事をしっかり守っていたので、従業員の方が雑用を頼みに来るたびに
「それは我々の仕事ではありません」
と問答無用で断っていました。
従業員の方から見れば、ちょっとした簡単な仕事なのになぜ引き受けてくれないの。
と評判は良くありませんでしたが、我々警備員からすれば
「警備員を守る頼もしい人」
となるのです。
契約に無い仕事をして、何か問題を起こした際に警備員の責任にされても困りますし、雑用を引き受けた事で契約内の仕事に支障が出てはそれこそ契約違反になっては意味がありません。
「契約内の仕事をせずに、契約外の事をする」
そうならない為にも、隊長は雑用を頼んできた従業員の依頼を断ったのです。
もし、それでもその雑用を警備員に頼みたいのであれば、契約をしたうえでその業務にかかるお金を出してもらわなければなりません。
これに似た形の業務が「臨時警備」というモノになるのでしょうか。
通常の契約とは別に仕事を頼む時に依頼があったりします。
以前の現場ではこの臨時警備は何度か依頼を受けた事があります。
それ以外の仕事は基本的に受けないのが警備隊としての正しい形です。
頼られる警備員として見られたい、という欲から何でも引き受けるのは、まさに「百害あって一利なし」な状態なのです。
何でもする警備員にはなるな
施設警備員は通常の業務があります。
一応、時間ごとに細かいスケジュールが組まれているはずなので、雑用をしている時間は無いはずです。
もし、少しの時間を割いて雑用をし、その為に本業に影響が出たらどうするのでしょうか。
クライアントとしては、通常の業務にお金を出して仕事を依頼しているのに、後からふいに頼まれた雑用の仕事を優先して、本来の仕事が後まわしに、もしくは出来なかった時、訴えられでもしたらどうしますか。
ましてや、雑用時に事故など起こしたら誰が責任を取るのでしょうか。
そうならない様に、現場の隊長は余計な仕事は引き受けませんし、やらせてはいけません。
ちゃんと契約してだれが責任を取るのかはっきりしてからでないと、私は怖くてできませんね。
警備員がクライアントにいい顔をしたい、という気持ちはよく分かります。
しかし、本来やらなくても良い仕事を後先考えずに引き受けるのは、とても危険です。
まずは現場の隊長へ確認し、本当にやるのかという確認を。
そして現場の隊長は、クライアントに対して借りを作るだとかいい顔をしたいからという事を考える以前に「本当に受けて良いのか」「責任を取れるのか」という事を考えてから受ける判断をしましょう。
間違っても、一般の警備員がその場で勝手に判断して仕事を引き受けてはいけません。