今でこそ警備業法という規則でがんじがらめな警備員ですが、警備業が初めて出来て暫くの間は何一つ規則が無かったそうです。その為、警備員を雇う企業もそこで働く警備員もやりたい放題・・。偉そうにしている警備員のイメージはこの頃に根付いたのでしょうか。警備業発足から警備業法が出来るまでの経緯を簡単に見てみましょう。
望まれた職業であったが不人気だった?
警備業という職業が生まれたのは昭和37年と今から約60年近く昔になります。
この時期は戦後から復興しだして高度成長期に当たり、あらゆる経済活動が盛んな時期だったそうです。
東京でも商業ビルが次々に建設される中、様々な問題も出てきていました。
ドーナツ化現象で昼間は商業ビルで勤務し、夜には人の気配が無くなる・・
そうなると夜中の建物に侵入し犯罪を犯す案件が発生します。
当時は守衛なる職業がありましたが、警察の業務を満たすまでには至りません。
そこに目を付けたある人物が、警備業という仕事を誕生させました。
警備業者の発祥は所説様々ですが、これが日本警備保障今でいう「セコム」にあたります。
需要があって生まれた警備業でしたが、当時警備業というのは日本古来で言う所の「用心棒」的な認識が強く、どちらかというと反社的なイメージがあった為、余り人気のある職業ではなかったそうです。
ニッチ産業として生まれた市場でしたがスタートはかなり苦戦したようです。
人気職?になる切っ掛けはオリンピックとテレビドラマ
警備業が誕生して社会の注目を集める一大イベントがやって来ました。
警備業が生まれてから2年後の
1964年(昭和39)に開催された東京オリンピックです
当時は建設現場での警備業務がメインだったようですが、のちにその話題に乗じたテレビドラマで一気に認知度が上がりました。
残念ながら私はこの時代には一切かかわっていないので、当時を知る事はありませんが年配の人程、警備員の事を「ガードマン」と呼ぶのはこのテレビドラマの影響なのかもしれません。
また高速道路が整備される事で、交通警備員の需要も高まります。
社会的に認知もされ高度成長と共に需要もあり順風満帆な業種なイメージですが、警備員の数が増えれば不祥事も目立ちました。
警備員が警備業務をしている現場で窃盗をするという事件が多発します。
せっかく築き上げたイメージも最悪な状況に置かれてしまうのです。
警備員の悪いイメージを無くす解決策
そもそも警備業という仕事が生まれてから警備員という仕事に何もルールはありませんでした。
せいぜい雇った企業が決めたルールか、もしくは警備員のローカルルール位なものでしょうか。
これはもう
「俺がルールだ」
の様な状態なのでしょう。
会社の労働闘争の矢面に立たせたり、自分が警察官と同等と勘違いした様な警備員なんてざらにいた事でしょう。
法的規制がないのでやりたい放題な警備員、それこそ反社勢力も警備業を営んでいたと聞きます。
とどめに来た大事件が「3億円強奪事件」です。
当時としては破格な金額と大胆な犯行で世間を騒がせました。
この事件の他にも様々な運動や逃走、紛争などが発生し警備員の需要がまた高まります。
これらの事件を受けていよいよ警備員にも法規制の下、専門の訓練を受けさせてまともに機能させようとする動きが生まれます。
そして昭和47年警備業法制定へ・・
現在に至るまでに何度も業法の改正があり、いまだに改正されて改善しています。
過去の不祥事や無法な警備員は完全にゼロには出来ておらず、まれにニュースで警備員の残念な話題を目にする事がありますが、大部分の警備員は日々真面目に勤務に就いています。
他の企業に比べると入社時の制限が厳しい審査があります。
それほど警備員にこれ以上不祥事を起こして欲しくない・・という願いもあるのです。
警備員になられた方はその事を十分に認識して勤務に勤しんで欲しいと思います。