初めから「やる気ないな」と分かる警備員

<ケース:超心配性>

M氏(40代)という隊員の場合

大抵の新人警備員さんは、初めてくる現場に対して緊張感のあまり委縮してしまう事があります。しかしこの警備員は委縮の度合いあがものすごく「出来るかなぁ・・出来るかなぁ・・」とずっと仕事を覚えらなかったらどうしよう、と不安がっていて結果次の日には営業所に「やっていけません」とギブアップしました。

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やっていけないほど厳しい現場

この現場は中型規模以上の商業施設の施設警備員さんから見ると楽な現場だと思います。

大型商業施設の現場経験がある私はそう感じました。

体力的にも精神的にもはるかにこの現場の方が楽だと言い切れます。

そんな現場へやって来たこの警備員は、初日で音を上げてしまいました。

来た当初から

 

「研修中に仕事を覚えきれなかったらどうしよう・・」

 

とずっと研修の先輩警備員に漏らしていたそうです。

ここでは研修期間が終わると一人でポストを預かる事になります。

これはどこの警備員の現場でも同じだと思います。

普段、出入管理や巡回、そして寝る時も2人の警備員揃ってやるなんて事はありません。

ふつうは研修期間中に、精一杯教えられた仕事を覚えて独り立ちするものです。

なので、初めから「覚えられなかったらどうしよう」なんてネガティブな感情で教えられようなんて事は無いはずです。

みな、食らいついて覚えていくものです。

しかも、ここの現場はそれほど厳しい所でもありません。

多少記憶が必要な業務もありますが、普通の社会人であれば研修期間が数日もあれば覚えられる内容です。

実際、今までの新人さんもその期間で覚えてきているのですから。

異動の辞令で無理やりここへ来た

その警備員は実はこの警備会社に以前から在籍していた者です。

うちの現場にちょうど空きが出来てしまって、緊急で人が必要になってしまい彼が異動となったようです。

 

自分の意思でこの現場に来たわけではない・・

 

これが1日でギブアップした理由の一つなのかもしれません。

大抵は警備の募集を見て、自分でその現場で働きたいという意思で来る場合が多いです。

もしくは、面接時に「〇〇の現場ですが良いですか」という話があったうえで来るので本人も納得はしているはずです。

しかしこのM氏は会社都合で、今まで働いていた場所から急遽異動を申し付けられたのです。

今までいた現場に不満があったわけでもないのに異動を命令されては、新しい現場でも前の事を忘れて一生懸命やれるか、といったら難しいかもしれません。

そういう意味では彼の気持ちもわからないでもないですが・・。

そんな気持ちの状態で、新しい業務を覚えようにも頭に入らなかったかもしれません。

翌日、下番した後に営業所に「仕事について行けないので、辞めます」と彼がいったらしく、慌てた会社側は辞められたら困るのか、ここの現場の配属を解いて元の現場へ戻しました。

こちらとしては「なんだそれ!」という状態です。

新人さんの勤務枠、研修のために時間を割いた先輩警備員、すべて無駄に終わりました。

警備未経験の新人さんが、音を上げるのとはわけが違います。

警備業界内にいるので、警備業がどんなものかわかっているはずです。

巡回に出入管理、実際にやった事は無くても現認研修などでなんとなくその苦労は聞いているはずなのに。

それほど今まで彼がいた現場がいい加減な仕事しかしていなかった、という事なのでしょう。

ここの現場よりも苦労のない職場・・・。

意外と初日でやる気があるかどうか分かる

少なくとも、新人さんが初めてその現場へ来た時にどれだけやる気があるか、なんとなくわかるようになってきました。

挨拶や返事、先輩警備員が指導している時の言動、そして一つ一つの業務を行っている時の様子・・

色々な新人さんが研修しているのを見てきて、続きそうな人と辞めないまでもやる気があるかどうかなんとなくわかるようになりました。

やる気といっても、自分から率先して動くか、やらされている雰囲気が出ているかという意味のやる気です。

要するに自発的に行動するかです。

これに関しては性格もあるので、長く続く方でも自発性がない方もいます。

そういった見方で彼を見た時、

「あ、長くないかも」

という感じはしました。

ただ、自発性のない方でも長く続くので、辞めそうと感じても外れる事も十分あります。

なので、終始不安な言葉を先輩警備員に漏らしているようでしたが、そのままいつも通りに指導させました。

 

ですが・・やはり彼は辞めてしまいました。

辞めたというか、元の現場へ戻っていきました。

悪い意味で私の予想は当たりましたが、会社に対しては文句の電話を入れました。

きっと初めからやる気のない異動だったはずなのに、無理やり異動させるな、と。

後で知った事ですが、彼ではこの現場は続かない・・と思っていたそうです。

会社側も緊急で余裕のない異動だったので、言葉が悪いですが彼のような人材しか異動させられなかったのかもしれません。

しかし、本人が完全にやる気がないのに、それでも送ってくるのは現場側の負担になるのでやめてもらいたいです。

今では彼がまだ会社に在籍しているのか、現場をさらに異動になったのかはわかりません。

 

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