警備員は契約のもとに仕事をしています。委託側から特定の業務を依頼され警備会社がお金を貰い仕事を引き受けているのです。その為、依頼された以外の仕事はする必要がありませんし、してはいけません。そういった警備員のルールを理解せず「良かれと思って」勝手な事をする警備員をよく見かけます。
草むしりという契約に無い仕事
警備員は警備会社に所属し、現場へ派遣され仕事をしています。
その仕事の内容は予め決められており、それに従って勤務しているのです。
出入管理、立哨、巡回など。
これらは委託側と警備会社が契約を結んで、どんな仕事をするのかという事が決められています。
仕事の内容も契約書内に記載されており、その記載された仕事を遂行する事でお金をいただいているのです。
普通のサラリーマンは会社に所属し、そこで上司から頼まれる仕事は全て給料に含まれている業務なので実行しなければなりませんが、警備業者は契約でやるべき仕事が初めから限定されているという事なのです。
その為、
「契約以外の仕事はクライアントから頼まれてもしてはいけない」
となっており、契約に無い仕事を依頼したいのであれば、新たに契約を交わす必要があるのです。
施設警備として現場で勤務していると、この契約の事をよく理解していないクライアントの従業員でも、平気で契約に無い仕事を依頼してくる人がいます。
「警備さん、外の草が大分邪魔になって来たのでちょっと草むしりしてくれませんか」
もし、これが契約に含まれている事であれば何の問題もありません。
しかし、契約のどこにも掲載されていない事であるのなら、決してやってはいけないのです。
感謝という欲に目が眩んだ者
以前の現場で、警備室周りの草むしりをしている警備員がいました。
この高齢の警備員は、日頃から他の警備員がやらないような仕事を、誰に言われるでもなく気づいたらやっていました。
本人は、周りの誰もやらないからと自発的に善い行いのつもりでしているようでしたが、いつかぽろっと話していたの聞いた内容は
「警備員がクライアントに対して良い印象を与えられるから」
といっていました。
従業員が出勤時に歩く通り道で、警備員が率先して雑用をしている所を見せれば
「警備員さんありがとう」
と言われたいのが本音だったようです。
これらの行為は「警備員を良く見せる」という点においては悪くない行動かもしれません。
現場で警備員がクライアントに対して一生懸命仕事をしている姿を見せて、感謝されるのは良い事です。
しかし、この行動に一つ間違いがあるとすると
「契約に無い行動をしている」
という事です。
先程も話したように、警備員は契約に記載されている業務をしてお金を貰っています。
契約書には、どんな仕事をするのか詳細に書かれており、その契約に書かれている仕事と引き換えにお金を貰うのです。
この契約以外の仕事をしない引き受けない、という決まりをよく理解していない警備員が多い様に私は思います。
この件も、他の警備員は「契約に無い仕事はしない事」と理解していたので、誰一人行動しなかったが、彼だけはそれが理解できていなかった為の出来事だったのです。
クライアントが喜ぶから、という善意で行っているように見えますが、警備会社にとっては非常に迷惑な話なのです。
頼まれても率先してもいけない
クライアントが喜ぶ事だから、また別に悪い事をしている訳ではないのだから、と契約以外の仕事を勝手に行って、万が一クライアントの器物を壊してしまったり、ケガをしたり又はけがを負わせてしまったりした場合大変な事になります。
契約内の事で失敗をしてしまっても、クライアントか警備会社のどちらかが守ってくれる事でしょうが、契約に記載されていない事で何かやらかしてしまった場合、間違いなく警備会社側は守ってくれないでしょう。
その場合、委託側と個人で解決という事になります。
もし、金額面で莫大な失態をやらかした場合、個人で責任を負えるでしょうか。
そして、人身に関する事故の場合は警察が介入する事もあり得るでしょう。
これらは、契約に無い行動を起こした一人の警備員の責任という事になるのです。
個人が勝手な事をして事故を起こした
という事になるのです。
ここでは「感謝されると思ってやった」という言い訳は通用しません。
従業員に頼まれても、契約に無い業務であれば気軽に引き受けるな
この言葉は、一見冷たい様にも知らない人からすると仕事に対して怠慢な態度を取っている様にもに見えますが、実は
「警備員を守る」
事につながるのです。
契約内容をよく知らない警備員さんもいるでしょう。
そんな警備員さんが、契約内容をよく知らない従業員から契約外の仕事を頼まれている場面に出くわしたら、気軽に引き受ける事をさせず、断る様にしましょう。
そして、その事を隊長や副隊長などに報告し、仕事を断った事で発生し得る「警備員が仕事を放棄した」という誤解が生じないようにフォローしてもらえるよう報告できると良いでしょうね。
現場でも、この契約に無い仕事は引き受けるな、という指導をメンバーにし、その理由も周知させられば、暴走する警備員も減る事でしょう。