要人が暴漢に襲われた事で、警備員に問題が無かったのか、という事がテレビなどで取り上げられています。やるべき事が達成できず、人命を失ってしまう事は、警備員として契約を守れなかった事になります。しかし、契約を遥かに超える範囲の事を要求されても出来ない事もあるのです。
要人警護は警備員とは違う
今回の事件で、SPという4号警備の重大さを改めて思い知らされました。
1号警備でも、人命や財産を守る。
という事を毎日業務として実行していますが、要人警護ほど神経をとがらせて仕事をする事は無いと思います。
世の中で数十万人といる警備業に携わっている警備員は、この要人警護の職に就く事、もしくはこの職に就ける人は殆どいないでしょう。
その多くは、警察官やそれに近い関係者しか就く事が出来ないと思われ、特に今回の様な、政治家などを警護する人材は、普通の警備会社から選任される事は無いでしょう。
それほど警護に精通した人でないと務まらない物なのです。
にもかかわらず、こういった事件が発生してしまったという事は、余程警護が困難であったのだと想像できます。
守り切れなかったのではなく計画の問題
特に重要な要人には多くのSPが任務に就くようです。
今回は分かっているだけでも5名は居たようですが、この人数が適正であったかどうかが議論されてもいます。
こういった任務に就く時は、警備計画書も作成されているでしょうし、警護についている時もしっかり服務していたと思います。
それこそ、暇な現場で毎日ボーっとしている施設警備員などより余程周りにも気を配っていた事でしょう。
そんなSPが要人を守り切れなかったのは、当時の状況で警護に就く為の人員が足りなかったり、要人が余りにも無防備な逃げ場のない場所で演説していたのかもしれません。
観衆が近すぎるだとか、これ以上距離を置けない状況だとか、事前の計画の時点で無謀な計画だったのかもしれません。
後は、日本が今まで銃を扱ったテロに対応できる経験が無さ過ぎる、という点でしょうか。
まさか日本人が銃を隠しもって近づいているなんて、という経験が少ないのです。
残念な結果になってしまいましたが、これが今後の教訓にはなっていると思います。
こういった悪い事で話題になるのは悲しい
ここ数日、テレビで「警備員」という単語が良く出てきています。
正確にはSPや警護ですが、一般の人からすると警備員です。
それでも私の様な施設警備員ではなく、4号業務の「要人警護」に当たるのですが。
まあ、普通の人にとってはSPも交通誘導警備も施設警備も違いは理解しにくいでしょう。
そんな警備員という単語が日々流れているのです。
しかも、要人を守り切れなかった「警備員」としてです。
これほど不名誉な事はありません。
いつも思うのですが、大抵警備員という単語がメディアに出てくる時は、何かしら警備員が犯罪を犯した時です。
その度に、全国にいる毎日まじめに仕事をしている警備員は肩身の狭い思いをするのです。
放送されるたびに警備員のただでさえ低い地位が下がり、周りから白い目で見られるのです。
いくら熱心に仕事をしてクライアントの信頼を勝ち取っても、一人の犯罪を犯した警備員によってすべて台無しにされるのです。
しかし、今回発生した事件は別に犯罪を犯したわけではありません。
私はこの事件の場面を自分の目で見たわけではありませんが、当時警護していたSPの人はやれる事を精一杯したと思います。
確かに残念な結果になってはしまいましたが、彼らにすべての責任があるとは思えませんし、仕事を全う出来なかった彼らも悔しい思いをしていると思います。
この先新しい情報がでて、真相やどうすれば良かったのか分かる日が来るかもしれません。
しかし、あの事件を無かった事にはできないのです。
今回発生した悲しい事件を、ただ誰かのせいにするのではなく、二度と起こさない様な対策を講じて欲しいと思います。