警備業界はずっと人手不足です。一応人の入れ替わりはありますが、警備業界に来ても直ぐに辞めてしまうので、業界全体が増えていきません。また、全体が少しずつ増えていっても、それ以上に警備業者も数も増えているので、人手不足が解消されません。今は高齢者の人の参入に助けられていますが、なぜこんなにも警備員という仕事に人が留まらないのか、警備員という仕事が嫌われている点を考えてみました。
社会的に地位の低い仕事
個人的には圧倒的にこれが原因だと持っています。
世の中の多くの人が、警備員という仕事を社会的地位の低い仕事と捉えています。
社会人として最後に行きつく仕事。
誰でもできる仕事
定年になった人がやる仕事
など、例えは人それぞれですが基本的に社会の第一線から外れた仕事と考えている人が多い様に感じます。
実際、周りにいる警備員さんも警備員という仕事にあこがれて、高校や大学を出てこの仕事に就く為に入社した、なんていう人に出会った事はありません。
中にはそのような人もいるかもしれませんが、少なくとも数百人ほどの警備員さんと出会った中には居ませんでした。
警備業という仕事にそれほど崇高なイメージを持っていないので、多くの人は「警備員の仕事がやりたい!」と誰もが率先して就職先の一つとして選ぼうとはしません。
そんな理由で、警備員という仕事が嫌煙されがちになり、人生に躓いて最後に行きつく仕事、なんていう人も出てきたりするのです。
周りにも、他の仕事から流れ着いてやってきた、という人も少なくなく、また定年を迎えた高齢の人が「他では雇ってくれないから」と警備業界に来る人もいます。
警備員として覚える事が多い
また、警備員の仕事を始めて「こんなはずじゃなかった」という人も意外と多く、警備員の仕事が気楽なものばかり、と思って警備業界に来る人もいます。
しかし、警備員の人は良くお分かりかと思いますが、現場によってキツいか楽かは全く異なり、いわゆる外れの現場へ配属されると、勘違いしていた新人警備員さんはとんでもない目に遭う事でしょう。
施設警備員に限らず、警備員として現場へ入る時、警備業法や現場での規則を覚えなければならず、意外と記憶するべき事は多いです。
それほど難しい事ではないのですが、何せ量が多いので初めのうちは
「警備員なのに頭に詰め込む事が多すぎ!」
と思う人も多い事でしょう。
警備員の面接に受かっても、直ぐに現場で仕事という訳ではなく、数日間は座学で新任教育が待っていますからね。
「こんな勉強をする位なら警備員になりたくない」
と数日間の研修期間中に、ドロップアウトする人も必ず出てきます。
一度覚えてしまえば、後はずっと同じ事の繰り返しなので、学ぶのがきついのは本当にこの最初だけなのですが、この山を越えられない人が、警備員が増えない理由の一つでもあると言えるでしょう。
生活が不規則になる
警備員になって今でも変わらない事がありますが、それは
生活が不規則になる、という事です。
まあ、これは現場にもよりますが勤務がずっと同じポストとは限らず、日勤や夜勤など働く時間帯がバラバラになる事もあります。
また、当直勤務などの場合は、24時間職場に拘束されるので、明けの日などに体調を崩す人もいたりします。
以前の現場にも、とある高齢の警備員さんが当直勤務明けに毎回寝不足になり、丸1日自宅で寝込んでいるなんて事も。そして症状が酷い日は、下番後にそのまま病院へ行って点滴を打っていたなんて事もありました。
人には生活のリズムが崩れると、体調を崩しやすい人もいます。
警備員の仕事は、勤務体系が変わりやすいので、現役の警備員さんでもそれを嫌がる人は多いです。
嫌がっても警備員として残留してくれるだけ有難いのですが、そんな無理な事は出来ない、とある程度常識的な人は辞めてしまいます。
警備員の仕事をするという事は「社会的な常識」というものから多少ズレているのかもしれません。
それに許容できる人が、警備員として残っているのだと思います。
そんなレアな考えの人しかできないので、警備員という仕事がいつまで経っても人手不足に悩まされるのかもしれませんね。