警備員は巡回時に利き腕を壁側にしてはいけないという事をご存じですか。警備員になりたての頃に聞いた話や、現任研修の時に講師の方から聞いた話では、理由について若干内容が食い違っていましたが、いずれも納得できるものでした。何故、利き腕を壁側にしてはいけないのかというそんな話です。
巡回時は利き腕を壁側にしてはいけない
施設警備員が巡回をする時、これは昼間の巡回や夜中の巡回どちらにも言える事だと思いますが、よく
「利き腕を壁側にしてはいけない」
と聞かされました。
警備員になる前の新任研修や、現任研修時に講師の方から聞かされた覚えがあります。
利き腕と云っても人によっては右利きの人も居れば左利きの人も居ます。
これでは人によって壁側にする向きがバラバラになってしまいます。
なのでもう少し厳密に言うと
「体の左側を壁側にする」
と理解すればよいのです。
施設警備員が夜間巡回をする時、ちゃんと説明してくれる警備会社の研修では
「左壁伝いで、左側の窓や部屋を順番に全体を見回る」
と教えられていると思います。
では、なぜ体の左側を壁側にする必要があるのでしょうか。
右利きの人も左利きの人も同じ様に体の左側を壁側にする。
身体のある部分を左側にして歩く。
左側にあるものを守っている、そう
「心臓を守る様にして歩くという事なのです」
施設警備員が夜間巡回する時、建物内も外周巡回も同じですが、巡回時に暴漢に襲われるかもしれない危険な業務です。
そんな危険な業務をしている時に万が一襲われた時、相手が刃物を振りかざして向かって来た時に、少しでも心臓を守れるような姿勢が取れる様にしているのです。
相手が右利きで刃物を持っていても、振りかざした手は壁側になるので思ったように攻撃できません。
また、相手が左利きの場合でもこちらは体の左側が壁側にあるので、取りあえず心臓を守る様な態勢になっており、最悪致命傷を防ぐ事は出来るかもしれません。
そして多くの人が右利きであることから、相手が襲ってきた時に警戒棒などを右手に構えて相手の攻撃をいなす事が出来るでしょう。
暴漢に襲われるという事は、何十年と警備員をしていても1回あるか無いかの様な事案かもしれませんが、その1回が命取りになる事を考えると、従っておくべき教えだとは思いませんか。
それでも巡回時は装備品で両手が塞がる
左側を守りつつ巡回をするのは理解できましたが、それでも夜間巡回時は装備品を携行していく物が多い所もあるでしょう。
私が経験した現場では、細密巡回時に出発する時毎回両手がふさがる様な持ち物がありました。
取りあえず巡回時は左側壁伝いで見回っていましたが、常に両手が塞がっており
これでは襲われても相手の攻撃をいなせないな、と思ったものです。
まあ、万が一襲われてもその両手の持ち物を投げつけてやれば相手は多少ひるむかもしれませんがね。
今の現場では細密巡回時には両手がふさがる様な装備品は無いので、そんな事があっては困りますが、いつ襲われても攻撃をいなす事は出来ます。
しかし、この現場で「心臓を守る為に左側壁伝いに巡回する」という理屈を知っている人は何人いるのでしょうか。
警備会社が研修時にそういった説明をしていても、学校の授業と同じで話を聞いていない人は頭に記憶として残っていません。
退屈な話ばかりで早く終わらないかな、なんていう姿勢で研修を受けていると、いざ現場へ行った時に自分の為になる話をしていたのに実践できない人も多く見受けます。
「自分の為の研修なのに、何も会得していない」
新任研修や現任研修は、現場で働くうえで大切な事を話している事が多いので少しでも真面目に話を聞いて自分のものにして欲しいですね。
そして、そんな巡回時に両手がふさがる様な事があって身を守れない、という事でも、携帯している装備品を投げつける、など状況に合わせた対応でもなんとかなるものです。
利き腕に関係なく左側は守れ
夜間巡回時に左側の壁伝いに歩く、という事が理解できたでしょうか。
現場によっては左側壁伝いでの巡回という事が難しい所もあると思います。
それでも「心臓を守るため」という理屈が分かっているだけでも、それに合わせた巡回を心がける事は出来ると思います。
普段毎日それとなく見回っている夜間巡回でも、自分の身を守るという最優先の行動なら自然と出来るでしょう。
但し、現場によってはこの理屈よりも優先させる巡回方法があるかもしれません。
いくら警備会社がそう言っていても、クライアント側が建物の構造上、右側壁伝いでの巡回路を希望している場合もあります。
警備員がなぜ左側に沿って巡回しているか理解していないかもしれませんが、委託側の指示であれば従うしかないかもしれません。
それでも一応、警備会社か隊長クラスの人が、なぜ左側を歩くのか説明はしても良いかもしれませんね。
いざという時には自分の命を守る為に役に立つ行動です。
自分の勤務する現場では巡回路に関して特に決まりが無い、という所であるのならぜひ自分の身を守るための行動として実施してみてはいかがでしょうか。