ある現場の架空の話と思って下さい。その現場では警備歴2年も満たない無資格の警備員が、10年以上勤務している1級持ちの隊長に、挨拶もしなければ仕事の事で文句ばかり言っています。その隊員の酷さに会社に異動をお願いしても、人手不足の為にまともに取り合ってもくれません。
警備隊として連帯活動の無い現場
施設警備の現場は、通常警備隊として勤務しています。
隊長を始め副隊長や班長などから指示が降りてきて、その指示をもとに隊員全体が行動しています。
もしくは、クライアントからの作業指示や、臨時警戒など隊長が代表として折衝し警備隊へ周知させます。
要するに、トップダウン方式です。
警備業界の多くがこのトップダウン方式で、上から指示が出て下が動く形です。
言われた事以外はしない、という警備員なら誰でも知っている様なスタイルは、まさにこのトップダウンだといえるでしょう。
多くの施設警備の現場が、このトップダウンで日常が回っていますが、現場によってはそうで無い所もあるのです。
私もあらゆる施設警備の現場はそうだと思っていました。
しかし、中には現場で一番上に立つ者が居なくても、仕事を回す事が出来る所もあるのです。
現場で隊長ポストが無くても、近くに事務所がありそこから所長職にあたる人が隊長の様な役割をすれば良いのです。
現場では、みな同じ隊員として上も下もありません。
そういった現場では初めから言われた事しかしないので、イレギュラーが発生してもその規則を押し通すのです。
ある意味、警備員が融通が利かないとも言えますが、これならほかの警備員とも連携をとる必要もなく、単純な業務を規則に従って対応すれば良いだけなので誰でも出来ます。
資格の重みや施設警備隊の実状を知らない
そういった現場は非常に単調な仕事しかなく、もしその現場が初めての施設警備の仕事だと
「施設警備なんてチョロい」
と錯覚してしまうと思います。
そんな現場で仕事をしていると、施設警備の資格なんて取得しても誰でも簡単に取得出来るうえに何の役にも立っていないし、そんなチョロい施設警備の仕事を10年してきた警備員もどうせ大した事ないだろう、と思っているかもしれません。
しかし実際は、商業施設や病院など非常に多くの業務を学ばなければならない事や、臨機応変な対応を求められる仕事をこなしてきており、さらにそこを経験したうえで取得する施設警備の資格は、非常に価値のあるものだと実体験で理解しています。
そんな実情を知らない経験の浅い警備員は、暇で大した仕事もしていない様な現場で一緒に働いても、資格を持っている隊員も10年経験してきた隊員をみても、自分と彼らとの違いに気づけません。
隊長を隊長と思わない態度の無知な隊員
そんなヒマで施設警備の経験が活かせない様な現場で働いていても、何とか警備隊として規律を保とうと仕事をしていると、見識の浅い警備員には
「なんか上からモノを言って偉そうなヤツ」
に見えたようで、そこの隊長を嫌うようになります。
経験が浅い為に、いくら暇な現場でも対応を間違ったりする事もあるので、時に指導すると、上も下もない同等のくせに偉そうな態度をとるなと言わんばかりの反応を示します。
まず、隊長に対して挨拶をしなくなりました。
隊長から挨拶をしても、そのまま素通りをし上下番時にも黙ったまま通り過ぎて行きます。
まず間違っている事があり、この様な現場でも一応、組織としてのトップダウンは存在します。
会社から隊長として現場に派遣されているので、クライアントとも折衝しますし隊員に作業指示も出します。
ようはトップダウンの無い現場の様に見えますが、多少は残っているのです。
その警備員が気づかないだけなのです。
その為に、偉そうな指示を出している同等の警備員に対して、いう事を聞こうという気が無いようです。
この警備員は、このままではここの現場には長くいられません。
自分の過ちに気づかない限りは、上司に対してあり得ない態度をとっているからです。
仮にそれに気づいても、元の彼の人間性が非常識なので、不可能かもしれません。