警備員は稼げる、という話は最近あまり聞きません。昔と違って働く事について法律がしっかり機能するようになり、超長時間働く事が出来なくなったのが原因の一つだと思います。しかし、働き手にとっては警備業界の窓はとても広く、条件をクリアさえできていれば誰で受け入れてくれるのは変わりません。
仕事が無いから警備員になった
警備員として勤務していると、色々な理由で警備業界に入ってきた人と出会います。
高齢の多くの警備員さんは、定年からの警備員になったという人が殆どですが、定年してから警備員以外の仕事に就くにはなかなか難しいようです。
これは若い人にも言える事で、一度前の仕事を辞めてしまうと新しい事を始めようとしてもなかなか違う仕事に就けず、最後には警備業界に行くしかないという流れになります。
要するに行くところが無いから警備員になったという事です。
警備員の仕事をしていると、新人の警備員の中に余りやる気のなさそうな人が入ってくる事がありますが、そういう人は他に行くところが無くて「仕方がないから来てやった」という仕事も出来ないのになぜか上からな態度の人が多い気がします。
その様な人は最後には、そこの現場に迷惑を掛けながら退職していくパターンが多い気がします。
警備業界自体が人手不足で、面接をする会社側も来るもの拒まずな姿勢なので、この様なやる気のない様な人でも採用して、現場へ送り出しているのかもしれません。
やる気のない人を押し付けられる現場側は良い迷惑ですがね。
稼ぎたくて警備員になった
最近はあまり見かけませんが、警備員という仕事は稼げるという風潮がありました。
お金が稼げるから警備業界に来る人も多かったのでしょうが、最近では入社してくる人の中に「お金が稼げるから入社しました」という人はほとんどいません。
今では残業や労働時間に関して大分厳しくなってきて、その辺りにいい加減であった警備業界が厳しく取り締まられているせいか、法律を守る警備会社も当たり前になってきています。
先輩警備員から聞いた話では、当時は当直勤務も3連続や4連続ぶっ通しで働いていた人も居たようで、残業や連続勤務でかなり稼げていたそうです。
今では当直勤務も3日開けて勤務するのが当然になってきており、昔より稼げなくなっています。
その為、稼ぐために警備員になる人は誰も応募しなくなり人手不足に拍車をかける結果になってしまっています。
これは残念ながら当然な事だと思うのですが、そもそも警備員の様なただでさえ社会的地位の低い職業で稼げない、そして低賃金な仕事は普通に考えて誰もやりたくないと思います。
人がやりたがらない仕事だからこそ高待遇にするべきだと思うのですが、業界内では中抜きや、低価格での入札制度など警備業界の品質を下げるような制度がはびこっています。
こんな習慣さえなくなれば、少ない勤務日数でも高い給料を貰える様になったり警備会社の質の高さを競う事で入札を勝ち取る事が出来るようになります。
今の構造では莫大な金額を中抜きされて、低い給料しか警備員に払えない為に人が集まらなかったり、どこよりも低い金額を出して入札を勝ち取り、結果低い給料しか警備員に払えない為に人が集まらない、という結果人が集まらないという同じ問題に行きついていると思います。
これを打開する事が出来れば警備業界も盛況になると思うのですが。
両方満たすのは不可能なのか
今現在、警備員しかなれないから入社したという人や、稼ぎたいから警備員になったという人の両方を満たしている警備会社は殆どないと思います。
・警備員になりたくて入社した。
・警備員は稼げるから入社した。
この両方を満たすには、思い切った変革でも無い限り無理でしょう。
今では人手不足を解消する為に、AIやロボットを導入するという風潮の方が強いです。
今の制度を見直し、仕組みを大きく変える、という声は少なくとも末端にいる様な私の耳にまでは入ってきていません。
警備業界がスタートしてから色々変わって来た事はあったでしょうが、今の取り組んでいる方向のこの先の未来には
「人が少なくても成り立つ業界」
にする事であって、決して今の警備員の生活が豊かになる試みではないと思います。