新人警備員であった頃、偉そうにしている先輩警備員が居まして、その指導の仕方がいつの時代の人間だよ、と思わせるような人でした。特に立哨中は「絶対に持ち場を離れるな」「トイレにも行くな」という様な人で、工夫して対応しようという思考の出来ない人でした。
昭和能な先輩警備員の指導
施設警備員が業務中に立哨する場面は色々な所であります。
私が経験した立哨場所は、商業施設の従業員出入り口用の出入管理でした。
その現場での立哨は、1時間交代で一人でずっと立ちっぱなしになるのですが、その指導をした先輩警備員が言うには
「出入管理で立哨中はトイレに行きたくても我慢しろ」
というものでした。
これは後で隊の中で話題になり、防災センター内にいる隊員に声を掛ければ交代してもらえる、と初めからそうなっていたようで、先輩警備員が指導した内容は勝手に作ったルールだったのです。
この先輩警備員は新人警備員や、自分より後輩の警備員に対して物言いが偉そうであったり、「規則は絶対」「〇〇はこう在るべき」など、それこそ一挙手一投足と本当に言葉通り細かく、頭の固い考え方の警備員でした。
その反面、隊長や自分よりも先輩の警備員に対してはものすごく大人しいのです。
それが周りから見ていても良くわかるので、一緒に勤務したくない、と悩んでいた隊員さんもいました。
立哨は別に罰で立たされている訳ではない
そもそも立哨業務は警備員の仕事の一つです。
立哨している様子が「立たされている」というイメージがあるので、どうも罰で立たされている感じと変な錯覚をする人もいるようです。
トイレに行きたいという反応は、人間の生理現象でこれを「行くな」という事はパワハラをしているのと同じです。
いや、たとえ罰で立たされている人に対しても、トイレに行くのを禁止する事はパワハラにもなりそうですよね。
そんな生理現象を仕事だからと行かせない命令をする権利は誰にもありません。
これが先輩警備員が昭和脳だという事なのです。
昔は何でも根性論で人を従わせていましたが、現代ではパワハラの一言で訴えられて終わりです。
しかし、この話は今からたった10年くらい前の話ですが、まだそんな事を平気で言う警備員がいるというのは、この業界にはブラック企業やそこに在籍する昭和脳な警備員がたくさん存在するという事です。
だいたい、立哨中に1人で勤務していてもトイレに行きたいと思った時に対応できる環境になっていない事が、警備業界の闇の部分でもあるのです。
交代してもらうか離席できる工夫を
昭和脳な先輩警備員の発言に違和感を感じ、隊長に確認した時にあっさりと
「声を掛けてくれれば直ぐに交代するぞ」
と言ってくれたので、先輩警備員の方がおかしな事を言っていたと分かったのです。
そう、そこには初めから交代してもらえるという環境は存在していたのです。
新人の警備員だと中々そういった事まで確認する事が出来ず、指導する先輩警備員のいう事がそこの現場のルールだと思いがちです。
しかし、どうにもおかしい理不尽な指導だった場合、上司や隊長に確認すると指導した警備員が間違っている時もあるのです。
要するに自分の都合の良い様に、後輩警備員を従わせたいが為に理不尽な指導をしている事もあるのです。
しかし、多くの施設警備の現場が今回の様に間違った指導ばかりとは限らず、中には本当にパワハラな業務を強いている所もあるのです。
一人の現場で、何かあっても誰とも相談できなければ交代もしてもらえない様な現場はゴロゴロあります。
それでも、クライアントや警備会社と相談して、少しでも理不尽な業務を改善できるよう働きかける相談をするのは悪い事ではないと思います。
どうせ警備なんて理不尽な事や無茶な事をさせるところだ、なんて諦めずに改善出来そうな所は行動する価値はあると思います。