救急対応は緊張感があるがやりがいもある

ヒマな現場の勤務になってからめっきり業務として対応しなくなった「救急対応」。商業施設では月に1度はあったであろう傷病者による救急対応でしたが、あれは経験している警備員と未経験の警備員では雲泥の差があります。そして対応出来ないと、1人前の施設警備員と認められないかもしれません。

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傷病者発生からの役割分担

大勢のお客様が来店されるような大型商業施設では、けがや体の具合が悪くなる方の発生頻度も上がります。

ヒマな現場ではそういった方の対応する機会は1年に1回あるかどうかくらいでした。

 

そんな商業施設での勤務中に多くの救急対応をしてきて、警備員の連携が重要だという事を学びました。

 

ケガや具合の悪くなった方がいた場合、その現場付近のテナントなどから防災センターへ連絡が入り、警備員が急行します。

この時、すぐに情報が待機している者も含めてすべての隊員に無線で連絡が入り、全員で対応する準備をします

 

この瞬間、警備員は自分たちがどの部署の担当になるか身構えています。

 

現場から救急車が必要な程緊急なのか、施設内にある救護室へ案内するかで今後の行動が大きく変わります。

救護室案内の場合は、勤務中の隊員だけで済む場合が多いので、待機中であった隊員さんは待機へと戻ります。

 

しかし、救急車を呼ぶ必要がある場合は装備品を身に付けて、それぞれのポストへ入るのです。

 

この時に何度も救急対応を経験している警備隊の場合は、それはもう見事な連携で、誰がどこへ配置するのかというのを自発的に動きます。

隊長やベテラン隊員は防災センター内から救急車を呼び、無線で刻々と変わる状況を全体へ流し指示を出します。

 

ある隊員さんは現場へ急行した隊員さんの応援として、現場へ向かいます。

さらに、エレベーター前で速やかに搬送できるよう、不停止設定をした隊員さんが待機し、最後に救急車が到着し救急隊員さんを現場まで案内する警備員が待機します。

 

これだけの事を隊長の指示なしで当時は動けていました。

「自分は〇〇をします」「では自分は〇〇へ」などと自分から言われるまでもなく各ポジションに就いていったのです。

 

普段偉そうにしている隊員や、毎日ボーっとしている隊員、待機時間になるといつも寝ている隊員など、真面目なのか不真面目なのかよくわからない人たちが、この時だけはテキパキと動いて格好よく見えるのです。

 

皆、少しでも早く傷病者の為に、と協力するのです。

この時に、新人警備員も一緒に現場対応へ連れて行き、先輩警備員がどのように動いているのか見せるのです。

まあ、警備業界は若干スパルタな所があるので、次からは一人で行かせる事になる場合が多いですが。

しかし、前もってその話もしているので、連れていかれた時は真剣にみんなの対応を見ています。

救急車の案内から病院搬送まで

救急車が到着する時、前もって傷病者が待つ一番近い出入り口前に来るよう伝えてあります。

救急車が到着してから、それでもまだ傷病者の待つ場所までは距離もあるので、入り口で待っていた警備員がその場所まで案内をするのです。

 

そしてその先には不停止設定をした隊員がエレベーターを上下階へ移動します。

もちろん、緊急対応という事で、お客様が利用が出来ない様封鎖しています。

 

1分1秒を争う状況もあるので、ここまでは相当連携が取れていないといけません。

各ポストで無駄な時間を消費しないよう、ポストに1名ずつ配置しているのです。

 

救急隊員が傷病者の所へ到着し、ストレッチャーで救急車迄行く際も、警備員が誘導、そしてエレベーターを操作します。

この間もちろん誰かが防災センターへ無線を流し、状況を細かく報告しています。

これは後で報告書をクライアントへ提出する為の情報収集と、各ポストで動きが悪くないか指示を出すためです。

 

まあ、各隊員が上手く動けている現場では防災センターから、お叱りの無線は飛んできませんが、たまに慣れていない隊員がやらかした時は、隊長から檄が飛んできます。

 

救急車へ乗り込んだ傷病者は、この後病院へ搬送されるのですが、警備員はどこの病院へ搬送されるのかまで確認しなければなりません。

病院搬送先も直ぐには決まらず、救急隊員の方もたらい回しにされる状況に困惑しているのを垣間見る事もありました。

 

そしてやっと搬送先も決定し、どこの病院へ行くのか警備員に伝えた後、車は出発します。

無線で搬送先を伝えるとこれでやっと警備員の仕事は終了です。

隊長は防災センターで救急対応の報告書を作成し、各隊員さんは自分の持ち場へ戻るのです。

 

これを毎月何年も繰り返し、救急対応のやり方を覚えるのです。

誰もがどこのポストの担当になっても出来なければ意味がありません。

「自分は〇〇が出来ない」「〇〇のポストは苦手だからあそこはやりたくないな」なんて言っていると全体の流れが止まります

 

まあ、何度も救急対応はやってくるので、苦手だと言ってもやるしかないので自然と全てのポストは覚えられると思いますが。

そんな救急対応ですが、毎回気になる事がありました。

その後の結果を警備員は知らない

何度も救急対応をしてきましたが、毎回同じ気持ちになります。

それは

 

「病院へ搬送された患者がその後どうなったのか知らない」

 

という事です。

余程テナントの従業員が搬送された時は、後日出勤してきて無事を確認できますが、来店されたお客様などは再び顔を合わす機会はまずないので、搬送された後どうなったのか分からないのです。

 

程度の軽い方や重篤そうな人など様々でしたが、元気に回復したのかもしかしたら最悪な結果になってしまったのかいつも気になっていました。

あれだけ頑張って対応して無事病院まで送り出す事が出来たのに・・、なんて考えるととてもやるせない気持ちになります。

 

そこの施設や警備員は、傷病者を搬送するまでの仕事なので、それ以降は知る必要はないといえばそうですが、出来ればその後の元気な姿を拝見したい、という気持ちは私だけではないと思います。

 

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