施設警備員で夜中の暗い建物内を怖がる人なんているわけないと思いますよね。実は居るんですよ。全ての警備員が暗闇でも怖がらない訳ではありません。しかし、怖がりでない人でも誰も居ない真っ暗な通路は怖いと思う時があるのです。
夜間の巡回は独りぼっち
施設警備員は夜間に細密巡回をする事が多いです。
誰も居なくなった建物内を、戸締りや火気点検をする為に巡回をするのです。
警備員が巡回というものをする時は、基本一人です。
これは昼間の店内巡回や外周巡回でも同じで、一人で行うものなのです。
ただでさえ配置されている警備員が少ない中で、一人が警備室で出入管理をしていたら、もう片方の警備員が巡回という人員ギリギリで配置されています。
これはどこの警備会社でも、どこの施設でも同じ事です。
最少人数で業務を交代しながらやり繰りしているのです。
そしてその夜間の細密巡回を警備員1人で見回るのですが、これが昼間とは景色がガラッと変わり人によっては
「お化け屋敷を歩くのか」
と思うほどです。
不審者よりもお化けの方が怖い
そう、警備員の中には夜間の巡回を、お化け屋敷を行くが如くビクビクしながら見回っているのです。
そういう怖がりな隊員さんと研修時に一緒に、細密巡回へ行ったことがあるのですが、それはとても警備員とは思えない様な有様でした。
真っ暗な建物内の通路を歩いているのですが、通りかかった扉のガラス部分に映った自分の影に一瞬「うわっ!」と声まで出して驚いていたり、特に驚くほどでもない様な置物などにビクビクした反応をするの見て
「この人、これからここで続けて行けるのか」
と疑問にさえ思いました。
研修時は二人で巡回していますが、研修が終われば次からは一人で行かなければなりません。
怖いながらも誰か一緒に歩いていくれる人がいてあの反応です。
もし、一人で行く様になったら一歩も前に進めないのではないかと、他人事ながら不安になりました。
あの怖がりな様子を見ていると、不審者に遭遇するよりもむしろ、存在するかも分からないお化けに怖がり続けていそうです。
まあ、確率から言えばお化けに遭遇するよりも不審者に遭遇する方がずっと高いはず。
そんな居るかもどうか分からない様なものに対して怖がり続けるよりは、もっと確率の高い不審者に気を使って巡回して欲しいものだと思ったものです。
怖がりで無くても不安になる時がある
確かに、真っ暗な建物内を一人で歩くのは、初めの内は勇気が要ります。
昼間はあんなに沢山の人で賑やかかったのに、夜中の時間になると誰一人おらず、そして真っ暗です。
あのギャップが恐怖を煽っているのは確かです。
私はお化けの存在を信じていないので、真っ暗な建物内でも恐怖を感じません。
しかも、この昼間と夜中のギャップを嬉しく思ってさえいます。
他の人では見る事の出来ない、この貴重な風景を味わえるなんて、という優越感の様なものでしょうか。
そんな中を巡回するのですから、怖がるというよりも貴重な景色を独占している、という感情です。
普通の人には経験できない事を独り占めしている、という感覚で日々巡回しているのですが、たまに違和感を感じるのも事実です。
真っ暗な建物内を一人で歩くのに何の恐怖も感じないのですが、ごくたまにいつも歩いている順路ですが、不安になる時があります。
いつもは後ろを気にする事も無く歩いているのに、その時だけはものすごく後ろが気になってしまう時があります。
別に物音がしたとか、何かがあったわけではないのですが
「なぜだか、うしろが気になるのです」
そうなってしまうと、普段何も気にしなかった真っ暗闇の巡回が一瞬「あれ、もしかして怖がってる」という気持ちになります。
そうなってしまうと後ろに何かが居ると考えてしまい、後ろを振り向いて確認したくなるのですが
「決してうしろを振り返る事は有りません」
いや、これでもし振り向いた時に何か居たりでもしたら、私の今後の警備員の人生絶対に夜間の巡回に行けなくなってしまいます。
お化けを信じていないという気持ちが強いだけに、万が一自分が本物を見てしまったら、一気に気持ちが「居る派」になってしまうと思うからです。
何故、そのとき不意に変な気持ちになるのかは分かりません。
特に霊感があるわけでもないので「霊を感じた」という事でもないと思います。
ただ何となく嫌な気持ちになっただけだと思います。
そしてその気持ちが強くなり「うしろに何かが居るかも」と勝手に思っているだけだと思います。
施設警備員の方で、夜間に真っ暗な建物内を歩いている時にふと、うしろが気になった事がある人は居ますか。
そして、その時うしろを振り返って確認していますか。
人がいる気配がして振り返り確認するような事では無く「何かゾッとするような気持になってうしろが気になる感じです」
いや、うしろを振り返っても何事も無く、前を向きなおしたその時が一番あぶないのかもしれません・・。