商業施設には自転車等を停める駐輪場があります。
大きな施設ですと何か所もあり利用される自転車の量もすごい事になります。
ただ、このすべての自転車が施設を利用されている自転車とは限らないのです。
中には自分で停めた事を忘れてしまっていたり、または盗難された自転車が乗り捨てられていたり、そして自転車の処分に困って駐輪場に停めてあるかのように捨ててあったり理由は様々です。
ここではそのあらゆる放置自転車を警備員が処分するまでの流れをお話ししています。
停めてある自転車にタグを張る
施設警備員として、なんでこんな事までしなければならないのかと思った仕事がこれです。
本来なら、施設管理者(クライアント)の仕事じゃないの?と自分でもしみじみ思ったものです。
ですが、クライアントから指示されたら一隊員では何の抵抗も出来ないと諦めました。
何をするのかというと、施設内にある自転車に、
近日中(期限あり)に移動しないと施設側は放置自転車と認識しますよ
(警察の管理の下、処分通告する旨の記載あり)
と、書かれた紙のタグを自転車の所有者が気づく場所に針金で括り付けてゆくのです。
これを営業時間の終わった夜中に、夜間外周巡回者が巡回しながら何か所、何十台とある駐輪場の自転車に付けてゆくのです。
ただし、この作業は毎日ではなく定期的に上から指示のあった日に行っていました。
なので、この指示のあった夜間巡回者にとっては余計な仕事が増える形になります。
営業時間外はお客様はいない、よって自転車が通常停めてあるはずがない、なので夜中に停めてある自転車は放置自転車の可能性が高い、という事です。
このタグ貼りは多い時で2,30台あった時もありました。
そんな中、防災センターの近くにある駐輪場は従業員が停めている自転車が大半です。しかも、どんな理由か分かりませんが、自転車を置いて帰ってしまう従業員も結構います。
なので、タグ貼りをすると殆どが防災センター近くの駐輪場になります。
せっかく、時間をかけてタグ貼りをしたのにその大半が従業員なのでものすごく無駄な時間を使っている気がします。
クライアント側が一言、テナント側に指導してもらえるだけで我々の無駄な作業が減るわけですから。
タグを張った自転車はどうなるかというと、数日以内に殆どなくなります。
ようするに放置自転車ではない、ということです。
まあ、当たり前ですよね誰の自転車なのかは初めから判っているので。
それでも、他の駐輪場に停めてある自転車は持ち主も現れないままタグが付いた状態で期日が来ます。
これが本当の放置自転車であると分かるのです。
警察に盗難自転車の確認をしてもらう
この期限の来た放置自転車がどうなるかというと、警察署に連絡します。
恐らく、どこの現場でも隊長か副隊長当たりの人が連絡するのが普通なのではないでしょうか。
なぜ、警察に連絡をするのかというと
本来放置自転車の処分は警察は、色々な理由があって介入できません。
なので、施設管理者側が正当な手段で処分するのですが、その前にその自転車が盗難車両でないかを確認してもらう為に連絡をするのです。
もしかしたら、盗まれた自転車が置きっぱなしになっていてここに放置されていることに持ち主が知らないかもしれないからです。
その為に期限の過ぎた自転車の防犯登録を確認して、犯罪に関与していないかを調べてもらうのです。
この現場でも、盗難車両であったり、またここから自転車を盗難された・・。などで警察が張り込んだりとよくお世話になりました。
そして、警察官が来て盗難の確認をしますが、盗難車両はごくまれでほとんどが放置自転車です。
調べの終わった警察官は帰って行きます。
業者に依頼して自転車を処分する
警察官の調べも終えて、いよいよ持ち主の居ない放置自転車が残りました。
ここからは自転車を処分する作業に入ります。
このあたりですと、もう一般の警備員はやる事は一部を除いて殆どありません。一般隊員の一番の出番はタグを貼る辺りまでです。
自転車を放置されていた場所から、邪魔にならないところまで移動させます。
駐輪場に持ち主のいない自転車を置いていても、他のお客様の自転車を停める場所が減るだけですからね。
施設の目立たないところに移動させて、1か月くらい置いておきます。
これは万が一、持ち主が現れた時のことを考えての事なのだろうと思いますがそこに保管します。
また、この時に自転車の台数が余りにも多いと、隊長か副隊長辺りから自転車の移動を手伝って欲しいと言われるかもしれません。
滅多にない貴重な体験なので進んでお手伝いしましょう。
そして、この期間が過ぎるといよいよ業者の手によって放置自転車が片付けられます。
中には、まだまだ使えそうなものもたくさんあり、1台くらい欲しいな・・。
なんて思いますが、防犯登録などの関係上、ややこしい問題になるかもしれないのでやめておきましょう。
業者の手に渡った自転車がその先どうなるかは分かりませんが、持ち主のない物が処分されてしまうのはなんか悲しいですね。
自転車に限らず、物は大事にしましょう。