飲食店のある現場で勤務する施設警備員さんなら経験したことがあると思いますが、閉店時に従業員の方が帰る時に警備員に差し入れを置いて行ってくれる事があります。その日お店で売れ残って廃棄する予定のモノなので、本来はクライアントから禁止されているのかもしれませんが、我々警備員にとっては非常に有り難いものなのです。
残り物として警備室へお届け
商業施設で勤務していた時に、何がうれしいって閉店時にテナントの方から食品の差し入れがある時です。
施設警備員の方で経験のある方ならわかると思いますが、閉店時になると「今日はあるかな」とワクワクしたものです。
販売店側にしてみれば売れ残りが発生するのはよろしくない事ですが、売れ残ってしまうのはどうにもできません。
通常は「廃棄」としてゴミ庫へ持って行くのが正しいのですが、中には「警備さんいつもお疲れ様」と帰り際に「差し入れ」としていただく事があるのです。
我々警備員は、施設が閉店してからもまだまだ勤務です。
それこそ、24時間のうちまだ半分終えた位の時間でしょうか。
仲が良くなったテナントの方は、我々がまだまだ仕事だという事を分かっているので、お店で売れ残りが出た時にそれを捨てずに警備室に持って来てくれるという事です。
しかし、この行為は施設によっては禁止されている所もあります。
テナントで販売している商品は賞味期限がそこまで長くない為に、持ち帰って食べようとすると食中毒を起こす可能性や、またワザと大量に作って売れ残りを持ち帰るなどの行為を防ぐ為に、購入品以外の閉店後の持ち出しを禁止ている所もあるのです。
食品衛生管理上の問題
大きな商業施設になればなるほど、食中毒などの問題に気を使っています。
いざテナントから食中毒の問題が出ると、そこの店舗だけでなく他のテナントそして商業施設そのものに悪影響が出ます。
「あそこの〇〇〇、食中毒が出たんだって」
と近隣の地域では「食中毒が発生した商業施設」として広まります。
もはやテナント1店舗の問題に留まりません。
かつて、食中毒を出したお店が数日間営業停止になった事があります。
普段から細密巡回で厨房まで点検に入っていたので分かりますが、ここだけの話まあ、成るべくしてなったという状態でした。
お客様が食事をする店内はそれなりにキレイでも、厨房は燦々たる有様でした。
どんな状態で食中毒が発生したかは分かりませんが、ぱっと見店内はキレイでも見えない所までキレイかどうかは利用客としては確認できないのでどうしようもありませんね。
まあ、差し入れを貰う話でこれ以上テナントさんの悪口を言うのは止めておきましょう。
そんな不祥事を起こしたくないので、クライアント側は基本的に売れ残り商品は持ち帰りさせずに、施設のゴミ庫へ捨てる様な規則になっています。
それでも、「今日中に食べて下さいね」と晩御飯のおかずになりそうな物からスイーツまで色々な物を差し入れてくれました。
それでも警備員には有り難い
廃棄しなければならない、という規則はありましたがその日の内に食す、という案内をして差し入れをいただいていました。
今でこそ話しますが、当時は差し入れをいただいても夜中に残るメンバーはせいぜい3名。
その日の内と言われても日付が変わるまであと2時間。
しかも警備員はまだまだ忙しい時間帯でもあります。
とても食べきれるものではありません。
そうなると、閉店業務を終えた帰宅予定の隊員さんが数名居ますので、こっそり持ち帰って貰っていました。
しかも、差し入れをゆっくり食べる事の出来る時間は夜間の業務が終わってからです。
ひと段落つくのが日付の変わった2時なので、その時点ですでに日付は変わっています。
だからと云って捨てるわけもなく、細密巡回を終えた夜中に頂いていました。
夜中に食べるスイーツのおいしかった事今でも忘れません。
それ以降の現場でも、お店の方から差し入れはありました。
どこの現場でもこういった事は同じなのだなと思いました。
食品関係のお店の無い施設警備員の方はもし、こういった現場の配属になったらさぞ驚く事と思います。
しかし、忘れてはいけないのは
あくまでお店の善意で行ってくれている事なので、お礼をするのはもちろんの事、日頃から待機時間の時などにそのお店を利用する事を忘れずに。
お店の人も警備員が売り上げに貢献してくれているからこそ、と感謝の気持ちで差し入れを持って来てくれる場合もあるからです。
24時間の過酷な勤務も、テナントさんの有り難い差し入れのおかげで乗り切れた、と云っても過言ではないでしょう。