車検索という警備員の特殊な仕事

商業施設の勤務をしていた時、お客様がご自身の車をどこへ止めたか分からなくなった為に警備員が探す、という業務がありました。車検索というこの業務はどこにでもあるものではありませんが、私はこれが得意でもあり率先して業務に参加しました。いかに早く見つけるか、というこの業務は人によって向き不向きがあるのです。

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商業施設以外では経験の無い車検索

ショッピングセンターへ車で遊びに行って、用事も済んでいざ帰ろうとした時に自分の車をどこへ停めたか分からなくなった事は有りませんか。

平面の小さなスーパーの駐車場ならまだしも、大型商業施設の立体駐車場などでは、何階層も同じ様な構造となっており「〇階のAエリア」などと細かく覚えていないと自分の車を見失ってしまいます。

 

大型の商業施設で勤務した事のある人なら経験があると思いますが、自分の車をどこへ駐車したか分からなくなってしまうお客様は意外と多いのです。

これは今まで経験した施設警備の現場でも、商業施設のみの案件でした。

他の施設ではそこまで大きな駐車場もなく、自分で乗ってきた車を見失う様な事は有りません。

駐車スペースが数千台規模の施設ならではの事だと思います。

 

そんな大きな施設で自分の車を見失ったお客様は、まずはインフォメーションへやって来て

 

「自分の車の場所が分からなくなりました」

 

と申し出てきます。

これも別に統計を取ったわけではないので、あくまで主観ですが「高齢者のお客様」車を見失う傾向が多かった気がします。

まあ、歳を取れば記憶というものが曖昧になってしまうのは仕方がありません。

恥ずかしいからとインフォメーションへ所へ申し出ずに、ひたすら駐車場内をウロウロして事故にあってしまう事を考えると、早めに申し出てくれた方が思わぬ事故にあわない為にも良い事なのです。

 

 

・警備員による車検索の開始

こうしてインフォメーションへ申し出た内容が警備室へ連絡され警備員の出動です。

巡回中の警備員は無線でインフォメーションへ急行するよう指示を受け、車の詳細の聞き取りをして、検索を開始します。

 

車の詳細は持ち主本人なので余程、間違う事は有りませんが、中にはたまに所有している車が複数台で、来店した車と間違えているのかデタラメな時もあります。

検索していてどうにも見つからない時は、再度本人に聞き込みをしてどこか間違っている所が無いか確認します。

 

取りあえず与えられた情報を基に車を探すのですが、警備員によっても車を探し当てるのに得意な警備員苦手な警備員が居るのです。

車に詳しくないと発見が遅れる

車検索は、車種やナンバーなどお客様から与えられた情報を基に車を探すのですが、警備員によっても早い人と遅い人がいます。

これは単に「車に詳しいかそうでないか」によって見つける時間が変わります。

 

それこそ、車に詳しい警備員は詳しくない警備員よりも数倍早く見つけられる事があるのです。

詳しくない警備員が10分かけて見つけられるとすると、車に詳しい警備員は5分もかからない場合があるのです。

 

なぜこれほどまでに差が出るのか云うと、恐らく

 

「発見が早い警備員は車種名と車の形が一致している」

 

事だと思います。

車に詳しい警備員は、車種名を聞いただけで大まかな車の形も把握できています。

しかし、車に詳しくない警備員は車種名を聞いても車の形が分からないので、その確認をする為に、車の後部にある車種名のプレートを見るか、もしくはナンバープレート一台ずつ確認する必要があります。

 

その点、車に詳しい警備員は、何十台も並んで止められている車があっても、車種が分かっているので、ぱっと見で該当する車があるかどうか直ぐに分かります。

そして該当する車種があれば、一台ずつ確認するまでも無くその車の前まで迷わず行けるのです。

 

この差が車の発見にかかる時間の差になります。

この間、お客様はインフォメーションでお待ちいただいているので少しでも早く見つけなければなりません。

車に詳しい事が警備員の仕事に役立つとそれまで思ってもいませんでした。

宝探しの様で意外と楽しい

車を探す、という業務は大型のショッピングセンターでないと中々ない事かもしれません。

実際、他所の施設警備の現場ではこの業務は殆どお目にかかっていません。

 

他の現場でも、車を探すという事は有っても、複雑な立体駐車場や何階にもわたって数百台の中から1台の車を探す、という業務は商業施設を覗いてそうは無いでしょう。

 

しかし、車に詳しい人にとってはそれほど難しい事でもなく、またそうでなく人でも「何かを探す」という行為が仕事とはいえ夢中になって探せるのです。

車検索に時間がかかるようだと、警備員を複数人動員して

 

「誰が先に見つけられるか」

 

なんていう競争心も出てきて更に力が入ります。

一応仕事なので、ニコニコしながら楽しそうにやるわけにはいきませんが、当時の車検索は個人的には楽しんでやれた記憶がありますね。

 

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