羽田空港の手荷物検査中に、保安検査員の警備員が現金を盗むというニュースが流れました。犯行は8~9 月の間で総額で150万円という金額に世間でも話題になりました。このニュース記事を見て現役の警備員として「やってくれたな!」という思いです。これは警備業界全体に波及する問題でもあるほど大きな事件でもありました。
保安検査員は警備会社が請け負う
空港の保安検査員は警備業者が請け負っている場合が殆どの様です。
これを全て公務員にやらせようとすると、莫大なお金が必要となるのはもちろん、その金額で民間の係り員が何人も雇えてしまうでしょう。
さらにそこまでの人数の公務員を用意する事も難しいでしょうし、どうしても民間に頼らざるを得ないのです。
そしてその保安検査員の業務の多くが警備業者となるのです。
一見華やかな業務で勤務に就くハードルも高そうに見えますが、求人を探せば仕事を引き受けている警備会社が募集しているでしょうから、欠格事由さえクリアできれば誰でも仕事につく事は可能です。
まあ、職場が職場なのであまり年齢が上の人は余程でもない限り採用されないかもしれませんが・・・。
警備員の社会的地位を貶める行為
そんな警備業者に所属している警備員が、保安検査場でお客様の現金を盗んだという事件が発覚しました。
保安検査員の例にもれず若い検査員でしたね。
スリルの為に行ったという供述でしたが、空港で働いているとはいえしょせん警備員です。
余り高給な仕事でもないと思います。
確かに他の施設警備の現場で働く警備員さんよりは賃金は良いかもしれませんが、警備員の収入の枠から外れるほどではないでしょう。
推測ですが、お金欲しさの犯行ではないかと思います。
しかし、一人の警備員が犯罪を犯す事で所属していた警備会社だけでなく、また空港で働いている他の警備会社の警備員、ひいては全国の警備会社に所属する警備員さんに迷惑がかかっています。
「ほら、やっぱり所詮警備員は犯罪者の集まりなんだね」
というあられもない認識を与えてしまう事にも繋がります。
多くの警備員さんが、日々真面目に働いているのに一人の警備員のせいで肩身の狭い思いをする事になるのです。
過ちを繰り返さない為に
一度世間の人がそう決めつけた思いを覆すのは、なかなか簡単に出来る事ではありません。
特に警備業界はただでさえ社会的地位の低い職業という認識なので、一人の警備員が悪さをすると「ほらやっぱりね」となってしまいます。
多くの警備員さんが真面目に仕事をしてコツコツと信頼を築き上げてきたものを、1回の犯罪で一瞬で壊されてしまうのです。
今回問題を起こした警備会社はもしかしたら契約を解除されてしまうかもしれません。
もちろん犯罪を犯した当人は解雇でしょうが、残された人たちは「2度と過ちを起さない」という姿勢を空港側に示さなければならないでしょう。
「いや、俺たちは普段から真面目に働いているよ・・・」
という人達でも、世間にはそういった態度を示さないといけない事を考えると、盗難に遭った人だけでなく、残された警備会社の警備員さんたちもある意味被害者なのかもしれない・・。
と、現役の警備員として働く側の者としてはそう感じました。