今までの警備業務経験の中で、警備員を辞めて他の職種の会社へ行ったはずなのに、元の警備員に戻ってきた、という人を一人しか見ていません。退職する人は何人も見送ってきましたが、また警備の仕事へ戻って来るほど、警備の仕事は良いものなのでしょうか。
仕事中に愚痴ばかりだった先輩警備員が辞めた
以前いた現場のとある先輩警備員は、今まで見てきた先輩警備員の中でも「嫌な」タイプの先輩警備員でした。
彼は同僚の警備員からも「親切で優しい」というタイプとは正反対な人で、仕事に厳しく、ちょっと意地悪な感じの先輩警備員でした。
そんな先輩警備員は残念な事に、施設のテナントの従業員からの受けは余りよろしくはありませんでした。
人との対応時の態度が、本人にはそんな気が無くても、聞いていて若干イラっと来るような態度で、分かり易く言えば「偉そう」な印象がありました。
そんな先輩警備員は普段から、仕事や人に対しての愚痴が多かったのです。
まだ仕事を完全に覚えきれていない新人の警備員に対して、覚えるのが遅いと叱りつけたり、また受付で対応したテナントの従業員に対して、荷物確認や受付場でちょっとしたトラブルがあると「あいつ等は馬鹿だ」と対応した後で我々に愚痴を言ったりしていました。
他の警備員は例えその様な事を思ってもそこまで酷い表現はしません。
彼だけが従業員が行った後で、一人で怒って愚痴っているのです。
また、後輩の警備員や新人の警備員には警備員としての知識が無いと分かると、あからさまな偉そうな態度で指導をするので、彼よりも後輩の警備員や新人の隊員さんは、彼と同じ勤務に入るのを嫌がっていました。
そんな彼がある日退職したのです。
理由は警備よりももっと稼げるところが見つかったから、というものでした。
現場の空気が明るくなった
彼が辞めると聞いて、ある後輩警備員は非常に喜んでいました。
その後輩警備員は警備員としての業務は把握しているモノの、日常的な行動が人と比べてやや劣る面がありました。
先輩警備員はその事を仕事の度に指摘していて、後輩警備員もその事で日々相当ヘコんでいる状態だったのです。
そんな先輩警備員が辞めると聞いて、かなり喜んでいたのを今でも覚えています。
周りの隊員さんたちは、そこまで彼から嫌な目に合わされてはいないものの、後輩警備員の事や、テナントからの受けが良くないという事などから、少しは周りの人に良い影響が出るかもしれない、という気持ちでいました。
そして3か月後には同じ警備の現場へ戻ってきた
そんな先輩警備員が退職して3か月も経った頃、現場は前よりは働きやすくなったのかと思えるほどの変化でしたが、当の後輩警備員は我々が思うよりはるかに働きやすかった事でしょう。
そんな大した変化を感じる事も無く日々の業務をこなしていたある日
「〇〇さんが戻って来るらしいよ」
あの時の後輩警備員の顔といったら・・・。
崩れ落ちるかのように落胆する彼は、その後しばらくして違う現場へ異動する事になりましたが、先輩警備員がもとの警備の現場へ戻って来た事が原因であったかどうかは本人に聞いていないので分かりません。
しかし、恐らく彼の事で異動を願い出たのではないかと今では思います。
一度は警備業とは違う職種へ転職した、先輩警備員ですがどうやらあまりにも違う職種で、仕事について行けなかった様で、たった3か月でまた違う転職先を探すより、元の警備会社へ戻った方が良い、と判断し再び同じ現場へ戻って来たそうです。
この話を聞いて、一度は警備から離れたものの「一度警備の仕事を始めると抜け出せなくなる」という言葉を思い出しました。
警備の仕事は一度始めたら辞められないのか
警備員の人なら聞いた事があるかと思いますが、警備員の仕事を一度経験すると、警備員から抜け出せなくなる、という話です。
警備員の仕事は誰にでも出来る簡単な仕事が多いです。
そんな簡単な仕事にもかかわらず、ある程度の給料が稼げてしまうので他の普通の仕事で汗水たらして働くよりも、立ったままだったり、座っているだけでお金が貰える警備の仕事から抜け出せなくなるという事のようです。
まあ、確かに立っているだけや座っているだけでお金が貰える仕事ばかりではないですが、それでも簡単な仕事が多いのは事実です。
その為、現役の警備員ですら「こんな仕事は辞めて警備員以外の仕事をやろう」とわざわざ考える事もしないのだと思います。
一度始めてしまうと抜け出せない警備の仕事、私の様に次の仕事への繋ぎの為に始めている人は、もうすでに抜け出せなくなっているのではないでしょうか。